パワハラ防止の要はトップのメッセージ
組織のトップのメッセージは何よりも響く
パワハラ防止は、トップのメッセージが要です。これに尽きるといっても過言ではありません。
パワハラ行為者の多くは、過去に厳しい指導を乗り越えてきたベテラン社員です。「この程度の厳しい指導は当たり前」「これが本人のためになる」という指導や助言は、ご自身の成功体験によって培ってきた価値観にもとつくものです。
その大切にしている価値観を否定され、パワハラといわれるほど、残念で悲しいことはありません。これが、パワハラ言動を変えられない原因のひとつです。
そんな時、「部下・後輩にとって耐えがたい人格を否定する言動は許さない!」という組織のトップのメッセージは何よりも響きます。
時代が変わったことを伝える必要がある
つまり、部下・後輩のやる気を失わせる言動は許さないということを明確に伝え、時代が変わったことを伝える必要があります。下手をすると、トップの頭の中もガラッと変えてもらう必要がでてきます。
我慢する価値がないと判断した者は離職を決断する
もし、上司や先輩の耐え難い言動に我慢し続けるとどうなるでしょうか。
それをバネにするくらいの気概は欲しいと思う方もいるかもしれませんが、実際には、強い信頼関係が構築されていなければ難しいでしょう。
我慢し続けることで、メンタルヘルス不調に陥ったり、自身のパフォーマンスを十分に発揮できなくなります。また、我慢する価値がないと判断した者は離職を決断します。
生産年齢人口が減少しつつある中、失われた人材の代替確保は容易ではありません。
職場の空気を大きく変えるには、トップのメッセージが何よりも効果的なことをお伝えしましょう。
パワハラ防止法の防止措置義務の第一に、「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」が挙げられているのはそのためです。
トップ自らがあらゆる場面で繰り返しメッセージを伝えることで、ベテラン社員の考え方、そして言動に大きな影響を与えます。
その結果、能力を発揮しやすい職場環境が構築され、組織が活性化し、事業の成長につながるのではないでしょうか。
ハラスメント問題の出発点
次のような言動は、部下にどのような印象を与えるでしょう。
- 名前で呼ばず、「おまえ」と呼ぶ
- あいさつをしても目を合わせて返事をしない
これは、若手社員がよくいう、パワハラに該当する上司の言動の一例です。もちろん、これらが即パワハラになるわけではありません。ベテラン社員であればこのような言動は気にも留めない人もいるでしょう。
しかし、まだ自信がなく、日々の業務に不安を感じている若手社員は、名前を呼ばれなかったり、返事をしてもらえなかったりすると、自身の存在が認められていないような気持ちになります。
上司が自分に対して何か怒っているのでは、という無用の心配にかられることもあります。
ハラスメント防止は生産性アップのため
そのような時に、上司の強い言動による指導があると、その不安と相まって、パワハラ発言を受けたという心理が芽生え、パワハラ問題の出発点になってしまうこともあるのです。
かくいう当社代表もパワハラ大魔王と言われたことがあり、言動には本当に注意しないといけないと申しておりました。しかし生産性アップのためと考えたらスッキリしたそうです。
言い方で伝わり方は変わる
言い方一つで伝わり方が全然変わるものです。以下を参考になさってください。
やる気を失わせる言い方 | 気づきを与える言い方 | |
こんなこともできないのか! | ⇒ | どうしたらできるようになるかな |
ちゃんと考えたのか? | ⇒ | どんなふうに考えたのか聞かせて |
同じことを何度もいわせるな! | ⇒ | もう一度説明しよう |
勝手なことをするな! | ⇒ | 事前に相談してほしかった |
まだか? | ⇒ | あとどのくらい時間がかかる? |
なんでこんなことになるまで放っておいたんだ | ⇒ | 途中で状況報告がほしかった |
雰囲気の良い会社、生産性の高い会社がこれからの時代に残っていく可能性が高いです。職場環境改善に知恵を絞りたいものです。
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