パワハラ対策のため部下指導に自信を持つには

2021年10月25日

パワハラ対策の適切運用ため部下に自信を持って指導する

ハラスメント問題を考慮する時に大事なこと

 ハラスメント問題を考慮する時に大事なことがあります。それは、

  • 職場で指導的立場にある者として
  • ハラスメント問題のグレーゾーンを適切にさばくスキルを身につけ
  • 自信を持って部下指導できるようになること

 この状態を維持することです。

指導者層のパワハラという言葉に対する悩み

 ここ数年、コンプライアンスの個別的テーマとして、管理職を対象としたハラスメント研修依頼がとみに増えてきました。
 それらの研修を通して、感じたことがあります。

 ハラスメント研修受講者の方々は、ほとんどの場合、職場で指導的立場にあります。
 職制上の管理職の方々や、いわゆる中堅社員として後輩の指導に当たる方々です。
 管理職の方々の多くは、日々職場で部下や後輩と接する中で、ハラスメントをするつもりもないのに「ハラスメントだ」と言われたり、思われたりした経験を持っているようです。

 その結果、

  • 何をすれば、何を言えばハラスメントになるのだろうか。
  • 「ハラスメントだ」と言われないようにするには、どうすればよいのだろうか。
  • 一体ハラスメントとは何なのか。

 といった漠然とした悩み、あるいは疑問を感じているようです。

ハラスメント問題のグレーゾーンが抱える闇

 そして、そのような悩み・疑問の、「ハラスメント問題はグレーゾーンが多くて分かりづらい」という感覚を持っている人が多く見受けられます。

 すなわち、

  • グレーゾーンはなぜ発生するのか。
  • グレーゾーンを回避するにはどうすればよいか。
  • グレーゾーンに直面したらどのように対処すればよいか。

 このような事柄に焦点を当て、さまざまな角度からアプローチすることにより、ハラスメント問題のグレーゾーンの実体と対処法が明らかになるとスッキリします。
 ただハラスメント問題のグレーゾーンを理解するのは、あくまでも「手段」にすぎません。

大事な目的は自信を持って部下指導に当たれるようになること

 最も大事な「目的」は、セクハラだ、パワハラだという言葉に惑わされることなく、自信を持って部下指導に当たれるようになることです。
 ハラスメント問題のグレーゾーンを放置しておくと、「管理職が部下指導に消極的になる」というリスクにつながっていく可能性があります。

 つまり、管理職が「部下・後輩に何かを言ってハラスメントだと言われると面倒だから、部下・後輩に対しては事務連絡だけにして、指導とか注意とかの面倒なことはやめておこう」と思って部下指導をしないようになってしまうことです。
会社組織は、常に「後進育成」をしていかなければ生き延びていくことはできません。
 管理職は、業績責任・業務責任・労務管理責任といった任務を負っていますが、それと同じレベルで「後進育成」の任務も負っているのです。

 管理職は自信を持って部下指導に当たり、常に後進育成に努めなければならないのです。
 その管理職が「部下指導は面倒だからやめておこう」と考えるのは、管理職としての重要な任務の放棄であり、会社組織にとっては、その存続を脅かす赤信号にほかなりません。

職場とは精神的・経済的満足を得る場所

 多くの企業では、就業規則の懲戒規定の中で、セクハラ行為・パワハラ行為を懲戒事由として定めているものと思われます。
 企業とは、顧客にとって価値あるものを提供することにより、利益を上げることを目的とする組織であるということができます。

 そして職場とは、従業員が組織目的に参画し、貢献することにより、精神的・経済的満足を得る場所であるということができます。

マネジメントの本旨

 管理職の職務は職場のマネジメントです。
 マネジメントとは、目的を定め、その実現に向けて実効的な活動を展開していくことを意味します。

 さらに細分化すると、マネジメントには2つあります。
 1つは「目的達成のために必要なこと、有益なことは実行する」ということであり、もう1つは「目的達成のために有害なこと、あってはならないことは回避・改善・除去する」ということです。

 したがって、職場のマネジメントとは、「会社目的達成のために必要なこと、有益なことは実行し、同時に、会社目的達成のために有害なこと、あってはならないことは回避・改善・除去する」ということなのです。

会社目的達成のため有害なこと、あってはならないこと

 「会社目的達成のために有害なこと、あってはならないこと」はたくさんあります。
 たとえば、業務プロセスに無理、無駄があってはいけません。何らかの合理化を図ることによって無理、無駄を回避・改善・除去しなければなりません。
 また、たとえば、いかに売上のためとはいえ、法令違反の手段を使う人がいてはいけません。

 そのような人には組織規定に則った処分を行い、再発防止を講じなければなりません。
 それと同様に、職場の和を乱す言動はあってはなりません。

 職場とは1人の人間で完結するものではなく、必ず、役割分担に基づいてお互いの役割を認識、尊重し、意見交換、情報交換しながら会社目的達成のために協力しあう場所です。

 したがって、職場の和を阻害するような言動はあってはならないのです。
 そして、それを「ハラスメント」という言葉で呼ぶのでは無いかと定義します。

ハラスメントとは職場運営上であってはならない言動

 つまり、「ハラスメントとは、職場を運営していく上であってはならない言動のこと」を言うのでは無いかと思います。
 これがハラスメント問題の本質であり、この本質をふまえつつ、要件に応じてセクハラとパワハラとに分類され、それぞれの定義が作られています。

 我々がセクハラ、パワハラと呼んでいる言動は、昔から存在していました。
 そして、極端に言えば、そのような言動は「あって当たり前」「よくあること」であって、よほど深刻な事態に発展しない限り大事にはしませんでした。

 ところが、セクハラ、パワハラという省略形の言葉が作られたことを契機に、セクハラ、パワハラと呼ぶべき言動は「あってはならない言動」とされるようになりました。
 世の中の常識が変わってしまったのです。

ハラスメント問題の混乱状態を解消

 その常識から逸脱している行為者は、社会的に非難攻撃される世の中になってしまいました。
 しかし、その割には、セクハラ、パワハラの意味を正しく把握しないまま、雰囲気で、あるいは自己流解釈で使っている人が極めて多いのが現状です。

 ある言動がセクハラ、パワハラになるかどうかは、主観的判断や解釈の問題です。
 その問題を考える際に、言葉の意味を正しく把握せずに自己流解釈で考えていては、話が混乱するばかりです。

 ハラスメント問題の混乱状態を解消し、正しく自信をもって指導することが、組織においては肝要です。

【PR】パワハラ対策管理職研修なら(株)グローリレイションへ