安全運転管理者アルコール確認の業務追加(4月・10月
道路交通法施行規則が2022年4月に一部改正
最近でも飲酒運転による悲しい事故がしばしば発生していますが、国としてもその対策の強化を進めています。2021年8月4日に内閣府が決定した「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」では、「自動車を一定数以上保有する使用者に義務付けられている安全運転管理者等の未選任事業所の一掃を図るとともに、乗車前後におけるアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認の促進等安全運転管理者業務の内容の充実を図る」こととされました。
そして、これを踏まえて、道路交通法施行規則の一部が改正され、安全運転管理者の行うべき業務として、アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等が追加されることになりました。
1.安全運転管理者の選任
安全運転管理者は、乗車定員が11名以上の自動車を1台以上使用している事業所、その他の自動車を5台以上(自動二輪車は、原動機付自転車は除き1台を0.5台で計算)使用している事業所で選任する必要があります。
さらに、自動車20台以上を使用している事業所で、20台ごとに副安全運転管理者を1人選任することになっています。
この安全運転管理者は自動車使用の本拠ごとに選任する必要があり、例えばA市にある本社(使用車両10台)、B市にある支店(使用車両5台)であった場合、それぞれで選任することになります。
この台数の判断に当たっては、使用するすべての自動車が対象となり、従業員の持ち込み車両やリース車両も含まれます。なお、安全運転管理者等の選任を怠ると5万円以下の罰金(法人等両罰5万円以下の罰金)が定められています。
また、安全運転管理者を選任したときは、選任した日から15日以内に事業所を管轄する警察署に届け出る必要があります。
2.追加となる安全運転管理者のアルコールチェック業務
改正道路交通法施行規則では、2022年4月1日より酒気帯びの有無の確認および記録の保存が必要になります。その内容は以下のとおりです。
- 運転前後の運転者に対し、その運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
- 酒気帯びの有無を記録し、記録を1年間保存すること。
さらに、2022年10月1日より、1の確認を、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて行い、アルコール検知器を常時有効に保持することが求められます。
この国家公安委員会が定めるアルコール検知器とは、呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するものとなっています。
アルコールチェックを確実に適正に
社有車を使用している企業は、安全運転管理者の選任が必要か、必要な場合には届け出を行っているかを確認したいところです。さらには、今回のアルコールチェック業務を適正に実施できるように準備を進めたいものです。
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事業所の交通安全
アルコールチェック業務について、まとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。
安全運転管理者制度
安全運転管理者制度は、一定台数以上の自動車を使用する事業所等において、事業主や安全運転管理者の責任を明確にし、安全な運転を確保するため、道路交通法により定められた制度です。
安全運転管理者等の選任
一定台数以上の自動車の使用者は、自動車の安全な運転に必要な業務を行わせるため、その使用の本拠ごとに、安全運転管理者等を選任しなければなりません。
- 5台以上(自動二輪車は1台を0.5台として計算)
- 但し、中型・大型バスは1台以上
※安全運転管理者等の選任は、自家用自動車を使用している事業所が対象です。
安全運転管理者の選任が必要な事業所は?(道路交通法施行規則第9条の8)
乗車定員11人以上の自家用自動車は1台以上、それ以外の自家用自動車は5台以上を業務で使用している事業所となります。
※自動二輪車(50ccを超えるもの)は、1台を0.5台として計算
安全運転管理者の選任を怠ると罰則が
安全運転管理者や、副安全運転管理者を選任しなかった場合には、「5万円以下の罰金」(法人等両罰5万円以下の罰金)という厳しい罰則があります。
副安全運転管理者の選任が必要な事業所は?(道路交通法施行規則第9条の11)
自動車の台数により、安全運転管理者とは別に、副安全運転管理者を選任することが必要となります。
乗車定員を問わず自家用自動車20台以上
自動車の台数 | 選任する人数 |
---|---|
1台~19台 | 不要 |
20台~39台 | 1人 |
40台~59台 | 2人 |
20台ごとに1人の追加選任 |
安全運転管理者等の要件
安全運転管理者等に選任されるためには、次の要件が必要です。
安全運転管理者
- 運転管理経験が2年以上の方
- 年齢20歳以上の方(副安全運転管理者を選任しなければならない場合は、30歳以上のかた)
副安全運転管理者
- 運転管理経験が1年以上または運転経験が3年以上の方
- 年齢20歳以上の方
資格要件
過去2年以内に次の違反行為をしたことのないかた。
- ひき逃げ
- 酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転、無免許運転、妨害運転
- 酒酔い・酒気帯び運転にかかわった車両・酒類の提供、酒酔い・酒気帯び運転の車両への同乗
- 無免許運転にかかわる車両の提供、無免許運転の車両への同乗
- 酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反の下命・容認
- 自動車使用制限命令違反
※安全運転管理者、副安全運転管理者が上記違反を犯すなどして不適格となった場合、使用者は自主的にこれを解任すべきです。
※使用者がこれを怠っている場合、公安委員会が使用者に対し、解任を命ずることができます。
安全運転管理者の業務
安全運転管理者の業務が拡充されます。(道路交通法施行規則の一部改正)
令和4年4月1日から【酒気帯びの有無の確認及び記録の保存】
- 運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等で確認することにより、当該運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
- 酒気帯びの有無の確認内容を記録し、当該記録を1年間保存すること。
令和4年10月1日から【アルコール検知器の使用等】
- 酒気帯びの有無の確認を国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて行うこと。
- アルコール検知器を常時有効に保持すること。
国家公安委員会が定めるアルコール検知器とは?
呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するものであれば足り、特段の性能上の要件はありません。
飲酒運転の防止
事業所における飲酒運転の防止には、アルコール検知器の活用や確認結果の記録が効果的です。
また、飲酒運転の防止には、アルコール依存症の危険性を理解することも効果的です。職場でできるアルコール対策のポイント(外部サイト・特定非営利活動法人ASK)をご確認のうえ、事業所一丸となった効果的な飲酒運転防止対策をお勧めします。
参考リンク
警察庁「事業所の飲酒運転根絶取組強化!」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankanleaflet.pdf
事業所の交通安全 – 埼玉県警察
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0010/shinse/jigyousho.html
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