労働安全衛生委員会の進化・活性化のさせ方

2022年2月3日

労働安全衛生委員会の進化・活性化のさせ方

安全衛生委員会は50名以上組織では法で必須要求

 労働安全衛生委員会は50名以上の組織では、法で必須と要求されていることもあり、各社取組んでいることとお察しします。ところが次第に形骸的になり、単なる報告会になってしまったり、活力の無い運営をよく目にします。

 調査審議事項も法で要求されているので、下部に参照で貼っておきますが、動きの無い水が淀んでくるかの如く、安全衛生委員会運営も工夫しないと、すぐに形だけになってしまい、活力が無くなってくるので注意が必要です。

安全衛生で最初に取組むべき事項

 下記の通り調査審議事項は定まっているのですが、お勧めする流れを記述します。一つには会議慣れしていないことと、やらなくてはいけないという義務感のなせることろかと想像するのですが、安全衛生委員会は上手に活用すると、組織活性や問題課題解決のキーとして活躍するようになります。

 安全衛生だけで義務的なところで留まっているから停滞するので、上手に活用するためには、品質アップ・環境対策・職場環境改善などを上手に盛り込むことです。しかし最初に取組んだほうがいいことを列記します。

  1. 事故やヒヤリハットについて、とことん議論してみる
  2. なぜ事故が起きたのか、そのヒヤリハットはなぜ起きているのか議論を深める
  3. 大切なことは参加者に発言させること
  4. そしたら事象に対する本当の原因を突き止める
  5. 問題点の深掘りが浅いと本当の原因に辿り着かない
  6. したがってとことん深掘りしてみることが大切
  7. 問題点や課題について対策案を練る
  8. 対策案も1つ2つでは無く出し切るようにしてみる

 上記だけでけっこう時間がかかるものです。問題解決も大きな目的ですが、最初の大きな狙いは、全員に参画させることで当事者意識を持ってもらうことです。よって身近な問題をとことん話し合うことで、参画意識を醸成します。

労働安全衛生法の学習を進める

 労働安全衛生法を学習し、それを深めることをお勧めします。
 労働安全衛生法は、職場での労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形作を促進することを目的としている法律です。

 労働災害を防止するための労働者を危険から守るための安全衛生管理体制についても決まりが設けられており、機械や危険物、有害物に関する規制、労働者に対する安全衛生教育などについて定められています。その法体系は膨大です。

 労働安全衛生法では労働者に対する「安全基準」についても規定されています。安全衛生教育は新たに労働者を雇い入れ、または労働者の作業内容を変更した際に、職場で使用する機械や原料等の危険性、有害性、またこれらの取扱い方法に関する説明等を遅滞なく行う必要があります。
 他にも事業者は安全基準の一環として安全装置、有害物抑制装置、保護具の性能や取扱い方法、作業手順、点検についても詳細に指導する必要があります。

 しかし面白くないのも事実です。労働安全衛生規則などは、かなり技術的でもあり具体的です。少しづつ一歩ずつ理解を進めることをお勧めします。

いかに安全衛生委員会を活性化させるか

 そこから先、大切なのは「良い仕事の徹底」です。
 「良い仕事の徹底」のためには、安全衛生対策がバッチリで、その上で品質維持やアップの方策が示されていなければなりません。良い仕事をしている人を発掘して、褒め称えて、そして真似することです。それを標準化して組織のルール・仕組みにしてしまうことをお勧めます。

 あとは環境対策も今や重要なファクターですから、環境上の課題も見つけます。コストダウンにつながりますので、この取組みはお勧めます。ここで気付くのは、やはり良い仕事は環境上も良いということです。環境関連の法令を学習しても、とても参考になり、良い仕事につながることでしょう。

労働安全衛生委員会の調査審議事項

 次の通り、労働安全衛生委員会の調査審議事項は法令で定まっているのですが、一気にでは無くて、一歩一歩少しずつがポイントです。

安全委員会

  1. 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
  2. 労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
  3. 安全に関する規程の作成に関すること。
  4. 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。
  5. 安全衛生に関する計画(安全に係る部分)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  6. 安全教育の実施計画の作成に関すること。
  7. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は産業安全専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の危険の防止に関すること。

衛生委員会

  1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
  2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
  3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
  4. 衛生に関する規程の作成に関すること。
  5. 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
  6. 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  7. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
  8. 化学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  9. 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
  10. 定期健康診断等の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  11. 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
  12. 長時間労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
  13. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
  14. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

その他(共通事項)

  1. 毎月一回以上開催するようにしなければなりません。
  2. 開催の都度、委員会における議事の概要を労働者に周知することが必要です。
  3. 開催の都度、委員会の意見及び講じた措置の内容並びに委員会における議事で重要なものに係る事項を記録し、これを3年間保存しなければなりません。

参考リンク

安全衛生委員会を設置しましょう(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0902-2a.pdf

安全委員会、衛生委員会について教えてください(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/1.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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