管理職になって初めにやることと外せないツボ

管理職になって初めにやることと外せないツボ

管理職とは?

 一言で言ってしまえば、管理職とは組織の経営者のことです。
 経営者ですから、自分の裁量で意思決定できる範囲はプレイヤーの頃より広がります。
 だからと言って、経費が使い放題になる訳でも、人事の裁量が思うままになる訳でもありません。

 むしろ、果たさなければならない責任の範囲が広く重くなると考えた方がよいでしょう。その意味で、管理職とは「組織の成果に全責任を負う人」と表現するのが適当かもしれません。

管理職が果たさなければならない責任

 では、組織の成果を上げるために、管理職が果たさなければならない責任にはどんなものがあるのでしょうか?
 その責任は、大きく3つあります。

  1. 預かった組織の業績責任
  2. 部下の指導育成責任
  3. 部下の保護管理責任

1.預かった組織の業績責任

 もっとも重要な責任は、預かった組織の業績責任です。

 管理職は、定められた期間(一般的には半期6ヶ月間、もしくは通期1年間)に自分たちの組織に与えられた目標をクリアしなければなりません。
 営業組織であれば売上や利益といった業績目標を、研究開発を担当する組織では研究テーマの完了や製品化が業績目標となります。

 これらの業績目標を達成して、はじめて管理職としての責任を果たしたと言えるのです。

2.部下の指導育成責任

 次に大きな責任となるのが、部下の指導育成責任です。

 部下を指導することは、組織に与えられた業績目標を達成するためには欠かせません。
 また、将来の業績目標を達成し続けるためには、部下を育成しレベルアップを図っていかなければならないのです。

 つまり、管理職は現在の成果を上げる責任だけではなく、未来の成果を上げる貫任も担っていると言えます。

3.部下の保護管理責任

 そして3つ目の責任が、部下の保護管理責任です。

 皆さんの部下となるメンバーは、会社から預かった貴重な財産です。
 彼らが心身ともに健康な状態で仕事に臨めるよう、管理職は常に気を配らなければなりません。
 そして、彼らが会社の方針を遵守し、組織の一員としてふさわしい言動を行うよう管理することも管理職の責任です。
 また、時には他部署の管理職や自分の土司から、部下を守ってやる必要が生じることもあるかもしれません。

管理職は自分の思うように組織を経営できる

 このように見てくると、管理職とは責任ばかり大きくて割に合わない仕事だと思われる方がいるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。
 管理職となれば、自分の思うように組織を経営することができるのです。そのためには、組織の経営者としての方針を策定して、部下に打ち出す必要があります。

基本方針策定は管理職になって初めに取り組むこと

 管理職となって、まず取り組まなければならないことは、組織の経営者として自分の基本方針を策定することです。
 基本方針とは、管理職が預かった組織をどのように経営していくのかを示すものです。
 基本となる方針ですから、コロコロ変わるものであってはいけません。最低でも半期(6ヶ月間)は変えることのない方針をつくる必要があります。あわよくば、ずっと普遍的に続くこものであることです。

スローガンの策定

 具体的にはまず、「自分が経営する組織の基本的な考え方や行動指針」を策定しましょう。
 例えば、組織を活性化させたいと考えているのであれば「コミュニケーションが活発な組織にする」というような組織のありようを示したものや、営業部隊であれば「全社ナンバーワンの利益を確保する営業チームをめざす」といったものです。

 大切なのは、自分たちの組織がめざす姿をわかりやすく、シンプルな言葉で表現するスローガンを策定することです。

組織体制の構築と役割分担

組織体制の構築と役割分担

 スローガンが策定できたら、次に「組織の構えと役割分担」を明確にしましょう。
 組織の構えとは、与えられた業績目標を達成するためにどのような組織体制を敷くのかということです。

 具体的には預かった組織をグループ分けするのかしないのか、自分の配下にサブのリーダーを据えるのか据えないのか、経験の浅い部下に育成担当の先輩メンバーを任命するのかしないのか、といったことです。

 また、部下の誰にどんな役割と賃任を担ってもらうのか、役割分担を決めるのも、管理職の重要な基本方針です。
 「組織の構えと役割分担」を明確に示すのはとても勇気がいることです。
 なぜなら、このことによって部下が不平や不満を抱くこともあるからです。

 例えば、与えられた仕事は私が希望している仕事ではない、なんでアイツに大事なお客様を任せるんだ、など。

 管理職はこれらの不平や不満に対して腰砕けにならないように注意しなければなりません。
 そのためには、管理職自身が十分に自分の考えをまとめ上げ、上司に相談してアドバイスをもらい、その上でしっかりと決意を固める必要があります。

「各種戦略」と「中長期の展望」

 管理職はこれら2つの基本方針に加えて、人・物・金・情報・制度にまつわる「各種戦略」と「中長期の展望」を基本方針として部下に示さなければなりません。「各種戦略」は、「中長期の展望」を策定するにあたっては、基本となる考え方があります。

 それは、1年~3年先に自分たちの組織が、次の項目に対して、管理職が自分の言葉で語れるようにすることです。

  1. 北へ行くのか南へ行くのか(綿織の方向性)
  2. いつまでにどこまで行くのか(組織の目標)
  3. 飛行機で行くのか歩いて行くのか(目標に達する手段)
  4. 通過しなければならない地点はどこなのか(中間目標)
  5. 旅を続けることで得られるもの(組織の目的)

自分はこのようになっていたい

 もちろん、これらの展望は社長でもない限り、部下に約束できるものではありません。
 それでも、これらを部下の1人ひとりに粘り強く伝え続け、その展望のもとで部下自身が「自分はこのようになっていたい」と思えるようになれればベターでしょう。

現状の冷徹な把握と分析も重要

 ただ管理職として気合が入る過ぎるのも問題です。部下と軋轢を残し、そっぽを向かれては元も子もないわけです。そならないためにも、現状を適切に分析する必要があります。部下たちが何に渇望ているか適正に把握しなければなりません。

 そうした現状把握と分析のプロセスを省いてしまうと、失敗のもとだったりしますから注意が必要です。
 いずれにしても、リーダーで大切なことは、ここに行きたい、こうなりたいというビジョンを明確に示すことです。

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