ISO30414を活用して人を大切に活用し活性化させる
ISO30414は人的資源管理(HRM)の規格
ISO30414は人的資源管理(HRM)に関連する国際標準化機構(ISO)が発行した規格の1つです。
正確には、ISO30414は「人的資本情報の報告ガイドライン」(Guidelines for human capital reporting)に関するもので、組織が人的資本に関する情報を収集、報告、分析する際の指針を提供します。
ISO30414規格は、組織が人的資本(人材)を効果的に管理し、戦略的に活用するために必要なデータと情報を収集し、報告する方法についての国際的な基準を設けています。人的資本情報の報告には、以下のような要素が含まれます。
人的資本データの収集
組織は、従業員の数、資格、スキル、トレーニング、雇用期間、経験などのデータを収集します。
人的資本の評価
組織は、従業員のパフォーマンス、エンゲージメント、成長の評価を行います。
人的資本の分析
収集されたデータを分析し、組織の目標や戦略に対する人的資本の影響を理解します。
報告
組織は、この情報を内部および外部の利害関係者に対して報告します。外部の利害関係者には、株主、投資家、顧客、取引先などが含まれます。
ISO30414は、組織が人的資本を資源として最大限に活用し、人材戦略を持続的に改善するために役立つツールとなります。この規格を採用することで、組織は人的資本に関する透明性を高め、戦略的な意思決定を支援し、持続可能な成長を促進することができます。
ISO30414は、HRプロフェッショナル、経営者、監査人、法的機関など、人的資本情報に関心を持つさまざまな関係者に役立つ規格です。組織がこの規格に準拠することで、人的資本の管理と報告に関する最善の方法に従うことができます。
ISO30414の主要なポイント
ISO30414の主要なポイントや要約を共有しましょう。
人的資本情報の報告に関するガイドラインを提供し、組織が人的資本に関する情報を収集、報告、分析するための基準を示しています。
以下は、ISO30414の主要な内容の要約です。
範囲と適用
規格は、すべての種類の組織に適用されます。これは、公共セクター、民間企業、非営利団体など、あらゆる組織に適用されます。
用語と定義
規格は、人的資本情報に関連する重要な用語とその定義を提供します。これにより、組織内でのコミュニケーションが一貫性を持つことができます。
報告原則
ISO30414は、人的資本情報の報告に関する原則を提供します。これらの原則には、透明性、客観性、信頼性、適切さなどが含まれます。
報告項目
規格は、組織が報告すべき具体的な項目や情報を示します。これには、人的資本の構成要素、従業員のスキル、トレーニング、エンゲージメント、パフォーマンス、多様性、リーダーシップなどが含まれます。
情報の収集と確保
組織は、人的資本情報を適切に収集し、確保するプロセスを確立するためのガイダンスを提供します。
情報の報告と提供
組織は、人的資本情報を内部および外部の利害関係者に報告する方法についての指針を収録しています。
情報の信頼性と確実性
ISO 30414は、報告される情報の信頼性と確実性を確保するための方法を提供します。
情報の分析と活用
組織は、報告された情報を分析し、人的資本に関する意思決定をサポートする方法についてのガイダンスを提供します。
この要約は、ISO30414の主要な内容を示すものですが、詳細な情報や規格の具体的な要件については、ISO規格文書を入手し、詳細を確認することをお勧めします。
ISO30414「人的資本情報の報告ガイドライン」
ISO30414「人的資本情報の報告ガイドライン」の重要なポイントは以下の点に集約されます。
透明性と客観性
この規格は、組織が人的資本情報を報告する際に透明性と客観性を重視することを強調しています。情報は事実に基づき、客観的な方法で報告される必要があります。
信頼性と確実性
信頼性の高い情報を提供するために、情報の収集、保存、報告、分析に関するプロセスは確実で信頼性のあるものでなければなりません。
組織内外への報告
組織は、人的資本情報を内部だけでなく、外部の利害関係者にも報告することが求められます。これには株主、投資家、顧客、取引先、監督機関などが含まれます。
報告の一貫性
組織は、報告の一貫性を維持するために、規格で定義された用語や基準を使用し、時間をかけて情報を報告する必要があります。
情報の分析と活用
人的資本情報は、単なる報告の対象ではなく、戦略的な意思決定と組織の成功に役立つ情報であるべきです。組織は報告された情報を分析し、戦略の評価と改善に活用する必要があります。
データの保護とプライバシー
報告される情報は、データ保護と個人プライバシーの観点から適切に管理され、法的要件に従う必要があります。
多様性と包括性
人的資本情報は、組織内の多様性や包括性に関する情報も含め、幅広い側面をカバーするべきです。これには性別、民族性、年齢、障がい、性的指向などが含まれます。
組織の戦略と関連付け
人的資本情報は、組織の戦略と密接に関連付けられるべきです。つまり、組織の人的資本戦略とビジョンに対する進捗状況を示す必要があります。
これらのポイントは、ISO30414の中で強調されており、組織が人的資本情報を報告する際に考慮すべき重要な指針です。組織がこれらの指針に従うことで、人的資本の効果的な管理と戦略的な活用が実現し、持続可能な成功に向けた基盤が築かれます。
ISO30414の11領域と58項目
具体的な11領域と58項目を紹介します。参考になれば幸いです。
- コンプライアンスと倫理
- 提起された苦情の種類と件数
- 懲戒処分の種類と件数
- 倫理・コンプライアンス研修を受けた従業員の割合
- 第三者に解決を委ねられた紛争 外部監査で指摘された事項の数と種類
- コスト
- 総労働力コスト
- 外部労働力コスト
- 総給与に対する特定職の報酬割合
- 総雇用コスト 1人あたり採用コスト
- 採用コスト
- 離職に伴うコスト
- ダイバーシティ
- 年齢
- 性別
- 障害
- その他
- 経営陣のダイバーシティ
- リーダーシップ
- リーダーシップに対する信頼
- 管理職1人あたりの部下数
- リーダーシップ開発
- 組織風土
- エンゲージメント/満足度/コミットメント
- 従業員の定着率
- 健康・安全・福祉
- 労災により失われた時間
- 労災の件数(発生率)
- 労災による死亡者数(死亡率)
- 健康・安全研修の受講割合
- 生産性
- 従業員1人当たりEBIT /売上/利益
- 人的資本ROI
- 採用・異動・離職
- 募集ポスト当たりの書類選考通過者
- 採用社員の質
- 採用にかかる平均日数
- 重要ポストが埋まる迄の時間
- 将来必要となる人材の能力 内部登用率
- 重要ポストの内部登用率
- 重要ポストの割合 全空席中の重要ポストの空席率
- 内部異動数
- 幹部候補の準備度
- 離職率
- 自発的離職率
- 痛手となる自発的離職率
- 離職の理由
- スキルと能力
- 人材開発・研修の総費用
- 研修の参加率
- 従業員1人あたりの研修受講時間
- カテゴリ別の研修受講率
- 従業員のコンピテンシーレート
- 後継者の育成
- 内部継承率
- 後継者候補準備率
- 後継者の継承準備度(即時)
- 後継者の継承準備度(1-3年,4-5年)
- 労働力
- 総従業員数
- 総従業員数(フル/パートタイム)
- フルタイム当量(FTE)
- 臨時の労働力(独立事業主)
- 臨時(欠勤)の労働力(派遣労働者)
これからISO30414は意識せざるを得ない
労働力が減少している時代です。昭和や平成までは人が余っていて企業が働き手を選別できておりました。「代わりならいくらでもいる。」とばかりに大事にしてこなかった歴史もありますが、今や人を大切にする風土に変わらざるを得ません。
こうした時代背景もあって、HRいわゆる「Human Resources」(人的資源)マネジメントは取り入れて、より活性化するために、ISO30414は参考基準になっていこくとでしょう。
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