効果的なISO内部監査のため厳しく的確な指摘を

2023年10月20日

効果的なISO内部監査を行うために

ISO内部監査の重要性

 ISO内部監査は、国際標準化機構(ISO)の規格に準拠し、組織内のプロセス、手順、および文書化された要件を確認するための重要な取組みです。以下に、ISO内部監査の重要性について説明します。

  1. 経営計画の進捗確認
     経営計画の進捗確認は、組織が目標を達成し、計画を実行しているかどうかを評価するために非常に重要です。ISOに限らずですが、経営計画が予定通りに進捗しているか、進まないとすれば何が阻害要因になっているのか、適切に把握し次のアクションに移すことはとても重要です。

     以下は、有効な経営計画の進捗確認手立てです

    • 定期的な報告と対話
      経営陣や関係者との定期的な会議や報告を設定しましょう。これにより、計画の進捗状況や問題点について議論できます。
    • キーコンパニオン指標(KPI)の追跡
      KPIを設定し、これらの指標を監視することで、計画の成功を評価できます。KPIは、収益、費用、品質、効率性などの領域に関連するものです。
    • SWOT分析
      SWOT分析を実施し、計画の強み、弱み、機会、脅威を評価しましょう。これにより、戦略の調整や修正が可能になります。
      顧客やステークホルダーからのフィードバックを積極的に収集し、計画を改善するために活用しましょう。
    • 透明性とコミュニケーション
      進捗確認プロセスを透明にし、組織内でのコミュニケーションを強化しましょう。計画の目標と進捗状況についての情報は全ての関係者に共有されるべきです。

    その他、良く言われていることをまとめてみます。

  2. プロセスの遵守確認
     ISO内部監査は、組織が特定のISO規格に準拠しているかどうかを確認するために行われます。これにより、組織は規格に従うための手順を遵守し、製品やサービスの品質向上に寄与することができます。もちろんプロセスが不確実であれば、より良いプロセスに改善できるよう、いつでも柔軟に変更させます。
  3. 品質管理
     ISO規格は品質管理の要件そのものなので、内部監査はこれらの要件の順守を確認し確保します。良い品質管理は、製品やサービスの品質向上に貢献し、顧客満足度を高めます。
  4. リスク管理
     内部監査は、リスクを特定し、軽減策を提案するための重要なツールです。組織は、プロセスや手順の不備を特定し、問題を解決するための戦略を開発する際に監査結果を利用できます。
  5. プロセスの改善
     内部監査はプロセスの改善を促進します。監査結果に基づいて、組織は効率性を向上させ、コスト削減、生産性向上、不要な浪費の削減などの改善を実施できます。
  6. 法的および規制要件の遵守
     内部監査は、法的および規制要件を順守するためにも役立ちます。組織は法的なコンプライアンスを保つために必要な手順を確実に実施していることを示すことが重要です。
  7. 信頼性の向上
     ISO内部監査は、組織のプロセスと活動が透明で信頼性があることを確保します。これは内部および外部のステークホルダー(利害関係者等)に対する信頼を築き、ビジネスの信用性を高めるのに役立ちます。
  8. トレーニングとスキルの向上
     内部監査は、監査人のスキルや知識を向上させる機会を提供します。監査する人は、組織内でのトレーニングと経験を通じて専門知識を磨くことができます。
  9. 継続的改善の推進
     ISO内部監査は継続的改善の文化を醸成します。組織は、監査を通じて得られた洞察を利用して、プロセスとシステムを継続的に向上させることができます。

 総括すると、有効なISO内部監査は組織にとって品質の向上、リスク管理、法的コンプライアンスの確保、プロセス改善、信頼性の向上など多くの重要なメリットを提供します。これは組織が競争力を維持し、成長するために不可欠な活動です。

業務品質を維持し向上させるため

 企業が生き残りをかけて行動し、限りあるコストを傾注させるために、業務品質を維持し向上させることが大切ですが、以下の要因が機能しているか監査することが重要です。

  1. リーダーシップとコミットメント
     組織のトップリーダーは、品質向上にコミットし、品質方針を策定し、実行することが重要です。リーダーシップのコミットメントは、組織全体に品質文化を浸透させるのに不可欠です。言っていることと行動していることがズレていないか注意します。
  2. プロセスの文書化と遵守
     業務プロセスや手順を文書化し、スタッフがこれに従うことを確保します。文書化は一貫性を保ち、誤りを減少させるのに役立ちます。
  3. 訓練とスキルの向上
     スタッフに必要なトレーニングとスキルの向上の機会を提供します。適切な教育とトレーニングを受けたスタッフは、品質を維持し向上させるのに貢献します。
  4. データと分析の活用
     データ収集と分析を通じて、問題を特定し、ルートコーズを追求します。データ駆動のアプローチは、品質改善の意思決定をサポートします。
  5. プロセスの改善と継続的改善
     プロセスの継続的改善は、業務品質を向上させるために不可欠です。PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを使用して、プロセスを定期的に評価し、改善策を実施します。
  6. 顧客満足度の監視
     顧客のフィードバックを収集し、顧客のニーズや要求に応えるように努力します。顧客満足度の向上は、業務品質を高めるための鍵です。
  7. 品質管理ツールの使用
     品質管理ツールやテクノロジーを活用して、品質をモニタリングし、問題を特定します。これには、品質管理ソフトウェア、品質管理システム、品質指標などが含まれます。
  8. 品質向上文化の醸成
     品質意識の向上と協力を奨励します。スタッフが品質を重視し、品質向上のために協力する文化は、組織全体にポジティブな影響を与えます。
  9. リスク管理
     品質に関連するリスクを特定し、適切なリスク管理戦略を策定します。これにより、品質の低下や問題の発生を事前に予測し、防ぐことができます。
  10. 持続可能性と継続性
     品質向上の取り組みは短期的なものではなく、持続的で継続的なものであるべきです。品質を長期的に維持し向上させるために、戦略的な視点が必要です。
 これらの要因を組み合わせて、業務品質を維持し、持続的に向上させるための総合的なアプローチを構築することが重要です。品質向上は組織全体の取り組みであり、すべてのスタッフがその一部として参加することが不可欠です。

プロセスの改善に重要な要点と具体的な時系列アプローチ

効果的なISO内部監査を行うために

 プロセスの改善を実施する際に重要な要点と、具体的な時系列でのアプローチを以下に示します。プロセスの改善は、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)として知られる方法を通じて進行します。

  1. ステップ1: 計画 (Plan)
    • 現状の理解
       プロセス改善の最初のステップは、現在のプロセスを理解することです。プロセスを文書化し、関係者と話し合ってプロセスの強みや弱点を洗い出します。
    • 目標の設定
       改善の目標を明確に設定します。目標は具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、時間内に達成可能なものであるべきです(SMART目標)。
    • 改善チームの編成
       プロセス改善チームを組織し、関連するステークホルダー、プロセスの専門家、および関係者を招集します。
    • 改善計画の策定
       プロセスの改善計画を作成します。これには改善のアプローチ、スケジュール、予算、リソースの割り当てなどが含まれます。
  2. ステップ2: 実行 (Do)
    • 改善アクションの実施
       改善計画に基づいて必要なアクションを実施します。これには新しいプロセスの試験、トレーニング、システムのアップグレードなどが含まれます。
    • データの収集
       改善アクションの進捗状況や効果を定量的にモニタリングするためにデータを収集します。これにより、改善の効果を評価できます。
  3. ステップ3: チェック (Check)
    • 結果の評価
       データを分析し、改善アクションの効果を評価します。目標が達成されたか、それとも修正が必要かを確認します。
    • 問題の特定
       改善の一環として新たな問題や課題が浮き彫りになった場合、これらを特定し文書化します。
  4. ステップ4: 対策 (Act)
    • 改善策の調整
       データとフィードバックに基づいて、改善アクションを調整し、新たなアクションを計画します。問題を解決し、プロセスをさらに向上させるために必要な手順を講じます。
    • 結果の文書化
       すべての結果、変更、および改善策を文書化します。これにより、組織内での情報共有と透明性が確保されます。
    • 継続的改善
       PDCAサイクルを繰り返し、プロセスの持続的な改善を続けます。プロセスは変化し続け、新たな機会や課題が発生しますので、継続的な改善が必要です。

 このPDCAサイクルを繰り返すことにより、プロセスの品質と効率性を向上させるための継続的な取り組みを確立します。改善ストーリーは、問題の特定から目標の達成までのプロセスを透明にし、組織内で共有しやすくするのに役立ちます。

記録を習慣化させる

 何と言っても記録が面倒なんです。しかし記録を習慣化させ、確実なる組織を築き上げる必要があります。記録を習慣化させるためには、以下のアプローチや指導が役立つでしょう。

  1. 目的の明確化
     記録をとる目的を明確にしましょう。なぜ記録が重要なのか、何を達成するために記録をするのかを理解することは、モチベーションを高めるのに役立ちます。
  2. 必要性の説明
     チームメンバーや関係者に、なぜ記録が必要であるかを説明しましょう。記録が情報共有、トラッキング、問題の特定、学習の手段としてどれほど価値があるかを強調します。
  3. 手順の簡略化
     記録をとるプロセスをできるだけシンプルにし、煩雑さを減らしましょう。複雑な手順は人々が記録を避ける原因となります。
  4. ツールの提供
     記録を効率的に行えるツールやソフトウェアを提供しましょう。デジタルノート、タスク管理アプリ、プロジェクト管理ツールなどが役立ちます。
  5. ルーチンの設定
     定期的な記録のルーチンを設定します。たとえば、毎日の終わりに行ったことをまとめる習慣を導入することで、習慣化しやすくなります。
  6. ポジティブなフィードバック
     記録を積極的に行った際には、ポジティブなフィードバックや報酬を提供しましょう。これはモチベーションを高める要因となります。
  7. 共感とサポート
     チーム内で記録を行う文化を醸成するために、共感とサポートを提供します。同僚や上司が記録を重視し、それを実践している様子を見せることが効果的です。
  8. トレーニングと教育
     記録の方法やベストプラクティスについてのトレーニングやワークショップを提供します。スキルが向上すれば、記録をとることが容易になります。
  9. 目標の設定
     記録の頻度や質に関する具体的な目標を設定し、達成度を測定します。目標を持つことは、記録を習慣化する助けとなります。
  10. フィードバックループの構築
     記録をとることによって改善されたことや学んだことを共有し、フィードバックループを構築します。このようなフィードバックは、記録の価値を示すのに役立ちます。
  11. 継続的改善
     記録プロセス自体を継続的に見直し、改善の機会を探ります。記録の手法やプロセスを改良することで、より効果的な記録ができるようになります。

 以上の指導とアプローチを組み合わせて、記録を習慣化する文化を築くことができます。継続的な努力と支援が必要ですが、記録は組織やプロジェクトの効率性や成果を向上させるために非常に重要です。

同僚に厳しく指摘する

 ISO内部監査のうまく進まない原因に同僚に厳しく指摘できないという事態があげられます。それをどのように克服すればいいのでしょうか。
 ISO内部監査で同僚に厳しく指摘できない問題は、コミュニケーションと対人スキルに関連しています。以下は、この問題を克服するためのアプローチです。

  1. コミュニケーションのスキル向上
     コミュニケーションスキルを向上させるために、トレーニングやワークショップに参加することを検討してください。コミュニケーションは、ISO内部監査において非常に重要です。
     聴くスキルを強化しましょう。同僚の意見や立場を理解し、対話を通じて相手と共感し合うことが大切です。
  2. 建設的フィードバック提供の習慣付
     厳しい指摘をする際に、事実に基づいて客観的に述べるように努めましょう。感情や主観的な評価を避け、データと証拠に基づいたフィードバックを提供します。
     「問題」ではなく 「機会」や 「改善点」として捉え、建設的なアプローチで接することが大切です。
  3. 共感と思いやり
     相手の立場や感情を理解しましょう。同僚が自身の仕事に情熱を持って取り組んでいる可能性があります。そのため、フィードバックを受け入れるのが難しい場合があります。同僚の視点に共感し、問題を協力的に解決する姿勢を示します。
  4. プライバシーとプロフェッショナリズム:
     厳しい指摘をする場合は、個人的な空間を確保し、プライバシーを尊重しましょう。公の場で批判をするのではなく、個別に対話することが適切かもしれません。プロフェッショナリズムを維持し、感情的な言動を避けましょう。感情的な対立は問題解決に対して逆効果です。
  5. トレーニングとロールプレイ
     同僚との難しい会話に備えて、トレーニングセッションやロールプレイを通じて対話のスキルを向上させることができます。これにより、自信をつけることができます。
  6. フィードバック文化の醸成
     組織内でフィードバック文化を醸成しましょう。フィードバックが一般的であれば、同僚も受け入れやすくなります。

 厳しい指摘をすることと、対人関係を損なわないようにするバランスを見つけることは難しいことかもしれませんが、上記のアプローチを試してみることで、より効果的なISO内部監査が行えるようになるでしょう。

金融機関の厳しい監査

効果的なISO内部監査を行うために

  1. 金融機関の内部監査
     金融機関は、厳格な内部監査およびチェックプロセスを実施する業界の一つです。以下は、金融機関における内部監査やチェックが厳しい状況の一部を示す例です。
  2. 法規制と規制当局の監査
     金融機関は、国内および国際的な法規制に従う必要があります。金融規制当局(例: 金融庁や中央銀行)は、金融機関の活動を監視し、定期的な監査を実施します。これには資本適足率、リスク管理、詐欺対策などが含まれます。
  3. 内部監査部門
     金融機関は独立した内部監査部門を設け、銀行の業務、リスク管理、財務報告などを監査します。内部監査部門は、組織内の不正やリスクを特定し、改善策を提案します。
  4. KYC(顧客対応義務)とAML(マネーロンダリング対策)の強化
     金融機関は、顧客の身元確認(KYC)とマネーロンダリング対策(AML)を強化し、不正行為や資金洗浄を防ぐための厳格なプロセスを実施します。これにはトランザクションのモニタリングや報告が含まれます。
  5. テクノロジーシステムのセキュリティ監査
     金融機関は、テクノロジーシステムのセキュリティを確保するために、サイバーセキュリティ監査を実施します。顧客データの保護やサイバー攻撃への備えが重要です。
  6. 内部統制と財務監査
     金融機関は財務情報の信頼性を確保するために、内部統制の評価と財務監査を実施します。会計基準と規制に適合し、財務報告の透明性を維持します。
  7. リスク評価とストレステスト
     金融機関は、リスク評価とストレステストを実施し、異常な市場条件や経済的ストレスに対する耐性をテストします。これにより、金融機関の安定性を確保します。

 これらの要因により、金融機関は厳格な内部監査およびチェックプロセスを実施し、業界全体の信頼性と安定性を維持することを求められています。金融機関は多くの規制と監査体制に対応し、リスクを最小限に抑えるために様々なプロセスとコントロールを導入しています。

不動産業界の内部監査

 大手不動産業界でも内部のチェックおよび監査プロセスは厳格で、以下はその主要な業務チェックと監査活動の一部です。

  1. 契約と法的コンプライアンスのチェック
     不動産業界では、契約書や法的文書の適切な管理とコンプライアンスが非常に重要です。内部監査は、契約条件と法的要件への遵守を確認します。
  2. 取引と取引データの監査
     不動産取引の正確な記録とデータ管理が求められます。内部監査は、不動産の購入、販売、リース取引などのデータを検証し、正確性を確保します。
  3. リース契約の管理と会計監査
     不動産会社は多くの場合、賃貸物件を所有または運営します。内部監査はリース契約の管理と関連する会計プロセスを審査し、IFRS 16などの会計基準に遵守していることを確認します。
  4. プロパティマネジメントと保守の監査
     不動産の維持管理は重要です。内部監査は、プロパティマネジメント活動と施設の保守、修繕、安全性に関するプロセスをチェックします。
  5. 顧客データのプライバシーとセキュリティ監査
     不動産業界は個人情報を多く取り扱います。内部監査は、顧客データのプライバシーとセキュリティが保護されているかどうかを評価します。
  6. リスク管理と保険の評価
     不動産業界は市場リスク、法的リスク、災害リスクなどさまざまなリスクにさらされています。内部監査はリスク管理プロセスと保険カバレッジを確認し、適切な対策を評価します。
  7. 財務監査
     不動産会社は財務報告を行います。内部監査は財務トランザクション、帳簿の正確性、収益の認識、コスト管理などを監査し、財務報告の信頼性を確保します。
  8. 社内プロセスと手順の改善
     内部監査は、効率性やコスト削減のための社内プロセスや手順の改善機会を特定し、改善提案を提供します。

 これらの監査活動は、不動産業界において法的コンプライアンス、データ管理、リスク管理、顧客保護、財務管理などの要件を満たし、組織の信頼性と透明性を維持するために欠かせないものです。また、外部監査機関や規制当局からの監査も行われることがあり、それらとの協力も求められます。

厳しさが幸福につながる

厳しく的確な指摘こそが効果的なISO内部監査、幸福への道

 厳しさが幸福につながるという思想は多くの場面で適用できます。真の厳しさは、自己成長、達成感、および持続的な満足感をもたらすことでしょう。

 厳しい状況や課題に挑戦することは、自己成長の機会を提供します。困難な状況を克服するために努力し、スキルや能力を向上させる過程は、個人的な達成感と満足感をもたらします。この達成感は幸福感の源となります。厳しい状況や困難な挑戦は、新しいスキルや知識を獲得する機会でもあります。困難を乗り越えるプロセスで学んだことは、将来の成功に寄与し、幸福感をもたらすでしょう。

 厳しさや困難な課題を克服することは、自己評価を高め、自信を持つ助けになります。自己評価が向上することは、幸福感を向上させる要因です。
 要するに、厳しさは挑戦と成長の機会を提供し、それに応じて達成感、自己成長、自己評価、そして幸福感をもたらすことがあります。困難な状況に立ち向かうことで、個人はより満足度の高い仕事や人生を築くことができるといえるでしょう。

 厳しい内部監査で、品質を維持向上させて、顧客満足アップと自己成長に繋げていただきたいと考えます。

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