DXは身近なできるところから着実に始める

2024年12月16日

DXは身近なできるところから着実に始める

必ずしも大規模なシステム導入から始める必要はない

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは、必ずしも大規模なシステム導入から始める必要はなく、日々の業務改善や効率化から始めることが重要です。お客さんと接して感じる、身近なツールを活用した具体的な改善方法をいくつか紹介します。

1. エクセル関数を上手に活用する

 エクセルは単なる表計算ソフトではなく、多機能なデータ処理ツールです。以下のような関数を活用することで、業務を効率化できます。

基本的な関数

  • IF、COUNTIF、SUMIF:条件付きの計算やデータ集計。
  • VLOOKUP、XLOOKUP:データベース的な検索。
  • TEXT:日付や数値の表示形式を整える。

応用的な関数

  • INDEX + MATCH:複雑な検索や参照に対応。
  • ARRAYFORMULA(配列数式):複数行や列にわたる計算を一括処理。
  • FILTER、UNIQUE:データの絞り込みや重複排除。

関数利用の具体例

  • 社員リストから特定部署の平均給与を計算する場合、AVERAGEIF関数を使うことで簡単に求められます。
  • VLOOKUP/XLOOKUPを使って、データの検索・参照作業を自動化できます。例えば、商品コードから商品名や価格を自動で引っ張ってくることができます。
  • IF/SUMIF/COUNTIFでは条件付きの計算を自動化が可能になります。例えば、売上が目標値を超えた項目のみを集計するなどの作業が簡単になります。
  • CONCATENATE/TEXTJOINでは文字列の結合を自動化できます。例えば、姓と名を別々のセルから自動的に結合して氏名を作成できます。

関数利用の効果

 これまで手作業で行っていた集計や計算を自動化することで、業務効率が向上し、ヒューマンエラーを削減できます。例えば、VLOOKUP関数で複数のデータから必要な情報を抽出したり、IF関数で条件に応じた処理を自動化したりすることで、大幅な時間短縮につながります。

 顧客データから特定の条件に合致する顧客を抽出する、売上データから月ごとの売上合計を自動計算する、などが可能になります。

2. エクセルからワードへの差込機能

 差込機能を使うことで、大量の個別文書(案内状、契約書、名札など)を効率的に作成できます。

差込機能のメリット

  • 名前や住所などが異なる文書を一括生成可能
  • テンプレートを用意すればフォーマットの統一が簡単

差込機能の手順

  • エクセルでデータリスト(氏名、住所など)を作成
  • ワードで文書テンプレートを用意
  • 差込機能ウィザードを使ってエクセルのデータをリンク
  • 差込機能を実行し、一括で個別文書を生成

差込機能の活用例

  • 顧客リストを使って、一人ひとりにカスタマイズされた請求書を自動生成できます。
  • 顧客への案内状や請求書など、定型的な文書作成を効率化できます。顧客データなどをエクセルで管理しておけば、ワードで作成した文書に宛名や内容を自動で差し込むことが可能です。
  • 購入いただいたお客様へのお礼状を個別な味付けをして一括作成できます。

DXは身近なできるところから着実に始める

3. エクセルのピボットテーブルを使う

 ピボットテーブルは、データの集計・分析を効率的に行うための強力な機能です。

ピボットテーブルの使い方

  • 大量のデータを含むエクセルシートを用意
  • 「挿入」タブからピボットテーブルを選択
  • 項目をドラッグ&ドロップして、必要な集計表を作成

ピボットテーブルの具体例

  • 売上データから、商品別、月別の売上集計を短時間で可視化
  • データを簡単にフィルタリングし、必要な情報だけを抽出
  • 売上データを商品別・地域別・期間別に集計して分析する、顧客データを年齢層別・性別などに分けて分析する、など。

ピボットテーブルの効果

  • 大量のデータから必要な情報を抽出し、様々な角度から分析することができます。データの集計や分析を効率化することで、現状把握や課題発見、意思決定の迅速化に役立ちます。
  • 部門別・月別の売上集計や、商品カテゴリー別の在庫状況など、様々な切り口でデータを分析可能です。
  • ドラッグ&ドロップで簡単に集計軸を変更できるため、データ分析の試行錯誤が容易です。

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4. Webベースの情報共有システムを使う

 Google WorkspaceやMicrosoft 365のようなWebツールを活用すれば、情報共有や業務効率化が進みます。

Googleスプレッドシート

  • 複数人でリアルタイム編集が可能
  • データ共有が容易

Googleフォーム

  • 簡単なアンケートや業務報告の収集
  • 回答は自動的にスプレッドシートに連携

Microsoft TeamsやSlack

  • チャットでの迅速な情報共有
  • ファイル共有やタスク管理機能も統合

 クラウドストレージ(Google Drive、OneDriveなど)も今は見逃せません。

Webベースの情報共有システムの効果

  • ファイルの場所を一元管理し、どこからでもアクセス可能
  • バージョン管理や共同編集も容易
  • クラウドストレージ(Google DriveやOneDrive)を使用することで、最新のファイルを常に共有可能
  • 部門や場所を超えて、情報共有やコミュニケーションを円滑化することができます。ファイル共有、掲示板、チャットなどの機能を活用することで、業務の効率化や連携強化に貢献
  • コミュニケーションツールで、素早い情報共有や意思決定が可能
  • クラウドストレージサービスでファイルを共有し、複数人で同時に編集作業を行う、プロジェクトの進捗状況を共有し、メンバー間でコミュニケーションの円滑促進
  • プロジェクト管理ツール(TrelloやAsana)で、タスクの進捗管理や期限管理を可視化

 DXの第一歩は「身近な業務をデジタル化し、効率化し、小さな改善の積み重ねがDXにつなげる」ことです。これらの取り組みを進めることで、現場の負担が軽減され、空いた時間をより重要な仕事に充てることができます。
 これらのツールや機能を活用することで、業務効率化、コスト削減、意思決定の迅速化など、様々な効果が期待できます。

 さらに、これらの取り組みを通して、従業員のデジタルリテラシー向上にもつながります。デジタルツールを使いこなせる人材が増えることで、より高度なDX推進にも取り組めるようになるでしょう。

 「できるところから始めるDX」は、大きな投資を必要とせず、すぐにでも実行できることが大きなメリットです。まずは、現状の業務プロセスを見直し、改善できるポイントを探してみることをお勧めします。

DXは身近なできるところから着実に始める

自動化の次のステップ

 Power Automate(旧Flow)を使用して、定型作業を自動化できます。
 例えば

  • 定型的なコピー&ペーストの完全自動化
  • メール受信時の自動ファイル保存
  • 定期的なレポート作成と配信
  • 承認ワークフローの自動化

データの可視化

  • Power BIやTableauなどのBIツールを使用して、データを分かりやすく視覚化できます。
  • エクセルのグラフ機能も進化しており、動的なグラフ作成が可能です。

 これらのツールや機能を組み合わせることで、以下のような効果が期待できます。

  • 作業時間の大幅な削減
  • ヒューマンエラーの防止
  • リアルタイムでの情報共有
  • データに基づいた意思決定の促進

 特に重要なのは、これらの改善を一度に全て行う必要はないということです。小さな改善から始めて、徐々に範囲を広げていくアプローチが効果的です。例えば、最も時間がかかっている作業から自動化を始めるなど、優先順位をつけて進めていくことをお勧めします。

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