国交省・厚労省が建設業の人材確保・育成に向けた概算要求事項の概要を公表

2020年1月27日

建設業の人材確保・育成について

国交省・厚労省の平成30年度予算概算要求の概要

 国土交通省及び厚生労働省が、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むことを目的とした、平成30年度予算の概算要求を公表しました。
 建設業の技能労働者の約3分の1は55歳以上となっており、他産業と比べて高齢化が進行しています。このような中、建設業が持続的な成長を果たしていくためには、特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、働き方改革を着実に実行し、魅力ある職場を整備することにより、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要な課題です。
 国土交通省と厚生労働省は、引き続き、連携して関係施策等を実施し、建設業の人材の確保・育成に取り組んでいくとしています。

「建設業の人材確保・育成に向けて(平成30年度予算概算要求の概要)」のポイント

3つの重点事項で厚生労働省と国土交通省の予算をとりまとめ。

  1. 「人材確保」
    建設業への入職や定着を促すため、建設業の魅力の向上やきめ細かな取組を実施

    • 建設事業主等に対する助成金による支援
      53億円
    • 専門工事企業等に関する評価制度の構築に向けた検討
      50百万円 等
  2. 「人材育成」
    若年技能労働者等を育成するための環境整備

    • 中小建設事業主等への支援 (建設労働者緊急育成支援事業等)
      9.2億円
    • 地域建設産業における多能工化・協業化の推進
      98百万円 等
  3. 「魅力ある職場づくり」
    技能労働者の処遇を改善し、安心して働けるための環境整備

    • 時間外労働等改善助成金(仮称)による支援
      17億円
    • 建設産業の働き方改革の推進
      2億円
       等

出所:国土交通省「平成30年度予算概算要求概要等」

 現行の建設業関連の助成金に追加されてくる予想ですが、利用しておきたい支援策が多々あります。

〔参考〕概算要求とは

 国の予算編成に先立って、「財政法」及び「予算決算及び会計令」に基づき、毎年度、各府省庁が、財務省に提出する翌年度の政策を実施するのに必要な経費の見積のこと(財務省への提出期限は8月末日まで)。
 財務省では、9月から各省庁から出された概算要求を検討し必要な調整を行った上で、歳入・歳出、継続費、繰越し明許費及び国庫債務負担行為の概算(政府原案)を作成し、各府省庁へ原案の内示を経て、概算として閣議決定されることになります。

建設業(茨城県)の雇用管理改善の実績ご案内

 代表の社会保険労務士でもある菅野は平成27年度~28年度まで、茨城県の建設業雇用管理改善アドバイザーも任命されており、建設業の雇用改善に関しては、ISOなど業務整備などと合わせて、包括的な支援が可能です。

茨城県建設業の平成27年度雇用管理改善促進事業について
茨城県建設業の平成27年度雇用管理改善促進事業
茨城県建設業雇用管理改善促進事業2015終了

建設業の人材確保・育成

 長期にわたる建設投資の減少に伴う競争の激化による技能労働者の就労環境の悪化や東日本大震災の復興需要、東京オリンピック・パラリンピック開催等による建設投資の増加に伴う建設業の人材確保・育成は課題であり、国土交通省・厚生労働省で連携した取組や検討の必要性が指摘されています。
 建設業は、国内総生産の2割弱に相当する建設投資を担うとともに、全就業人口の約1割を占めるなど、日本の基幹産業のひとつとなっており、建設業の健全な発展のための人材確保、育成の必要性が指摘されているところです。

労働人口の高齢化

 バブル経済崩壊後、日本の企業と労働者が抱える問題は、日本の雇用慣行が大きな転換期の中にあることを示しています。
 労働人口の急速な高齢化は、技能伝承における大きな課題となっています。人口の高齢化は、今後長期的に進展していく現象であると言えますが、そのような状況下、建設業においては、高齢化の問題は一層深刻となっています。

 高齢者の増加に伴い、高齢社員の戦力化が企業にとって必須となっていきますが、高齢者の持つスキルの若年者への伝承をする、また、OJTその他様々な手段により若年者を育て、定着させることも企業の存続、発展のためには重要な課題となっていきます。社員の教育とキャリアアップに向けた取り組みが、より重要となっています。

建設業における女性・若者の入職

 労働力人口が減少する中で将来にわたる担い手確保が重要です。女性や若者の活躍促進により必要な担い手を確保するため、その入職・定着を促進すること、女性技能者の入職・定着支援が課題です。
 現状では『もっと女性が活躍できる建設業行動計画』(平成26年8月)が策定(『5年以内に女性倍増』を目指す)されていますが、現状の女性技能者数が少なく、小規模の建設企業等では女性を受け入れ、定着させるためのノウハウ・体制が不足しています。
 そこで、計画的な女性技能者の入職・定着に取り組む企業や団体に対する支援や建設業で活躍する女性技能者について情報発信に取り組む必要があります。

社会保険加入率

 公共事業労務費調査(平成26年10月)での社会保険加入状況調査結果では、企業別の加入率は、雇用保険では96%(対前年度比+0.4%)、健康保険では94%(対前年度費+2.6%)、厚生年金保険では94%(対前年度費+2.7%)であるのに対し、労働者別の加入率は図表3のように、概ね70%台と低くなっており、それは小規模事業所における加入率の低さが原因となっています。
 建設業は重層的な下請という事業構造が特徴となっていますが、下請企業は概ね中小企業となっています。近年では、全体として加入状況は改善傾向にありますが、元請企業と比較して下請企業の方が、加入状況が低いという状況が続いています。
 労働・社会保険への加入は、従業員に対する福利厚生・健康対策等の最も基本的な部分です。近年建設業に対する社会保険加入促進、勧奨が国により推進されていますが、これは、建設業が魅力ある業界として人材育成や人材確保を行っていくうえで避けて通れない重要な課題となっています。

建設業の雇用管理改善お手伝いします

 この機に、助成金なども活用して雇用管理改善に着手したい、若者や女性に魅力ある職場づくりを始めたいという会社さんは、遠慮なくご相談ください。様々な支援策が用意されており、着手しない手はありません。建設業関連の助成金情報も随時アップさせます。あと過去情報リンク貼っておきます。

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