実態調査にみる「職場のパワーハラスメント」の現状と予防・解決策

2020年1月27日

実態調査にみる「職場のパワーハラスメント」の現状と予防・解決策

調査の概要

 平成24年3月に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」から「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」が公表されて5年が経過しました。
 同省は、この間におけるパワーハラスメント(以下、「パワハラ」)の発生状況や企業の取組状況などを把握し、今後の施策に反映させることを目的として実態調査を実施しました。
 全国の企業と従業員を対象に、平成28年7月から10月にかけて実施した調査結果に基づき、職場のパワハラの現状と予防策、解決策等についてまとめてみました。

パワハラの発生状況

 従業員向けの相談窓口において従業員からの相談で最も多いテーマは「パワハラ」で、32.4%という結果が出ています。
 過去3年間に1件以上「パワハラに該当する相談を受けた」と回答した企業は36.3%。
 一方で、過去3年間に「パワハラを受けたことがある」と回答した従業員は32.5%と、調査を始めた平成24年度から7.2%増えています。

予防・解決に向けた取組状況

 パワハラの予防・解決に向けた取組みを実施している企業は52.2%で、企業規模が小さくなると実施比率は相対的に低くなる傾向にありますが、平成24年度と比較するとすべての従業員規模の企業で比率が高くなっています。
 パワハラに限らず、従業員向けの相談窓口を設置している企業は73.4%あり、企業規模が小さくなると設置比率は相対的に低くなるものの、平成24年度と比較するとすべての従業員規模の企業で比率が高くなっています。

予防・解決に向けた取組みの効果

 企業がパワハラの予防・解決に向けた取組みを積極的に実施すると、従業員にとってはパワハラに関する相談がしやすくなるとともに、企業にとってもパワハラの実態が把握しやすくなります。
 また、パワハラの予防・解決に向けた取組みを行っている企業で働く従業員は、パワハラを受けたと感じる比率やパワハラにより心身への影響があったとする比率が相対的に低くなる傾向にあり、この取組みにより、職場環境が変わる、コミュニケーションが活性化するほか、「休職者・離職者の減少」や「メンタル不調者の減少」などの付随効果も見られるようです。
パワハラの予防・解決のための効果が高い取組みとして、「相談窓口の設置」や「従業員向けの研修の実施」を挙げている企業の比率が高く、企業がパワハラの予防・解決に向けた取組みを複数実施することが、従業員にとって職場環境の改善などの効果を感じやすいとの結果が出ています。