厚生労働省が公表した「外国人の活用好事例集」の概要

2020年1月27日

厚生労働省が公表した「外国人の活用好事例集」

約50社を実態調査

 厚生労働省は今年4月、外国人労働者の活用事例に関する実態把握の調査結果から、「外国人の活用好事例集 ~外国人と上手く協働していくために~」を公表しました。
 外国人を雇用している企業約50社を対象としたヒアリング調査をもとに有識者で構成された研究会で結果の分析を行い、好事例となる取組内容を取りまとめたものです。

 これによると、「外国人と上手に協働していくための3つの要諦」として、以下の点が挙げられています。

外国人にとっても魅力的な就労環境を整備し、自社が求める人物像を事前にはっきりとさせたうえで、効果的な募集・採用経路を選択する。

 日本で就労する外国人は、「評価システムが不透明であること」や「昇進が遅いこと」に不満を感じているため、優秀な外国人を確保するためには、「職務内容の明確化」と「公正な能力評価・処遇の実現」など、外国人にとっても魅力的な就労環境を整備していくことが求められる。これにより、ミスマッチによる早期離職等の防止や、入社後の外国人社員の定着にも資することが期待できる。

「言語」「能力開発」「メンタルサポート」「安全衛生」「宗教・文化」などについて、ボーダレスな職場環境を目指す

 外国人社員の日本語能力を向上させることで、日本人社員との円滑なコミュニケーションが促進され、生産性の向上につながっていくことが期待できる一方、職場の円滑なコミュニケーションを促進すれば、外国人社員の日本語能力の向上だけではなく、自社の日本人社員の語学力の向上にもつながる。

外国人社員が生活者として自立できるよう積極的にサポートする

 日本で新たな生活を開始する外国人社員には、行政手続、住居手続、銀行口座の開設手続などは難しく、不安や負担を感じる手続きが多い。このため、居住地にある病院やスーパー等、生活していくために必要な施設等については事前に紹介したり、手続き等にあたって日本人社員が同行したりする等、外国人が生活者として自立できるまで、積極的にサポートすることが求められる。

外国人の雇用管理の改善の参考に

 冊子ではこれらを踏まえて、「募集・採用」「配属・評価」「職場環境の整備」「教育・育成」「生活支援等」などについてのポイントがまとめられており、好事例とされる企業の事例が掲載されています。
 厚生労働省では、業種や企業規模にかかわらず、これから外国人の雇用を検討する企業や、雇用している外国人の雇用管理の改善を検討している企業などに参考にしてもらいたいとしています。