運送業者の「ホワイト経営」見える化報告書(国土交通省
自動車運送事業者の取組状況「見える化」認証制度
国土交通省は令和元年6月25日に、『トラック・バス・タクシー事業者の取組状況を「見える化」するための認証制度について検討会報告書』をとりまとめ、令和元年6月25日に公表しています。
この認証制度はGマークとは別の観点で、運転者としての就職を希望する求職者が就職先を選ぶ際や、荷主等が取引先を選ぶ際に参考にできる自動車運送事業者(トラック・バス・タクシー事業者)の労働条件や労働環境に関する認証制度になります。
かねてから注目していましたが、少しずつ問い合わせがありますので、ブログにまとめました。
認証制度創設等について検討の経緯
自動車運送事業は、運転者不足が深刻化しており、労働条件や労働環境を改善するとともに、運転者を確保・育成していくことが課題となっています。
このため、国土交通省では、昨年6月に有識者・事業者団体・行政等からなる検討会を設置し、長時間労働の是正などの働き方改革を重視した「ホワイト経営」への自動車運送事業者の取組状況を「見える化」するため、認証制度の創設等について検討を進めています。
報告書の概要
トラックや貸切バスに係るこれまでの評価制度が、主に運行の安全性に関して評価・認定し、主に利用者(荷主、旅行業者等)へ情報提供を行うための制度なのに対し、新たな認証制度である「運転者職場環境良好度認証制度」は、主に運転者の労働条件や労働環境に関して評価・認証を行い、求職者へ情報提供を行うための制度として設計することとされています。
「運転者職場環境良好度認証制度」は、公募選定する中立的な民間団体が、報告書の内容を踏まえて実施することとされました。
これにより、自動車運送事業者も、自社の働きやすさ等について第三者を介した中立的・客観的評価として示すことができ、運転者の採用活動の円滑化や、取引先からの信頼向上による契約受注への好影響が期待できます。
このほか、報告書では、認証項目、認証基準、認証段階(一つ星、二つ星、三つ星)、認証の有効期間などについても示されています。
認証項目
以下の分野の必須項目と加点項目により構成されています。
今の働き方改革を反映するように、荷重労働を防止しながら良い労働環境が維持され、多種多様な取組みをしている会社が評価されるようです。
- A 法令遵守等
- B 労働時間・休日
- C 心身の健康
- D 安心・安定
- E 多様な人材の確保・育成
- F 自主性・先進性等
ロジスティクス4.0への進化
物流の世界では、現在「ロジスティクス4.0」という新たなイノベーションが進んでいると聞きます。
IoTやAIなどの進化がロジスティクスの根幹に変化をもたらし、「省人化」と「標準化」による「物流の装置産業化」が起きつつあるというわけです。
物流の装置産業化によって、物流は「人の介在をほとんど必要としないインフラ的機能」に変わると予想する向きもあります。
属人的なノウハウは、機械やシステムに置き換わり、また、物流は属社的なものではなく、広く共有される仕組みになると予想もされています。
ただ、人力はどうしても外せないポイントがあるでしょうし、良い人材確保のために、「運転者職場環境良好度認証制度」は早くから意識しておきたいものです。
以下報告書PDFからの原文抜粋です。
新たな認証制度の概要
名称
「運転者職場環境良好度認証制度」
(愛称・認証マークは認証実施団体の決定後、検討)認証単位
事業者単位(申請者の選択により都道府県単位での申請も可能)
審査方法
書類審査(一定の割合で対面審査を実施)
認証基準
- 必須項目の全てを満たすこと
- 加点項目の合計点数が基準点を満たすこと
認証段階
複数の認証段階を設ける(一つ星、二つ星、三つ星)
※「二つ星」「三つ星」は、「一つ星」取得の翌年度から申請可認証の有効期間
当面、2年間とする
審査結果の公表
認証事業者は、プレスリリースの上、ホームページに公表
インセンティブ措置(例)
- 認証マークの車両等への掲示
- 求人票への記載
- 国や事業者団体による広報 等
参考リンク
国土交通省:働き方改革を重視した「ホワイト経営」へ
~トラック・バス・タクシー事業者の取組状況を「見える化」するための認証制度について検討会報告書をとりまとめ~
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha01_hh_000068.html
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