「産業保健師」の活用が注目されている 検討の価値あり

2020年3月15日

「産業保健師」の活用が注目されており検討の価値がある

企業では産業保健活動が重要な位置になっている

 企業には、近年のメンタルヘルス不調者の増加、高齢化による従業員の平均年齢の上昇、長時間労働対策の必要性が増していること等を背景に、従業員の健康管理に取り組むため、産業保健活動を効果的・効率的に進めることが求められています。

 しかし、特に中小規模事業所においては、健康診断の機会の提供以外のサービスはほとんど行われていないのが現状です。
 産業医の人数不足や、健康問題について対応できる人材が社内にいないといった問題もあります。

 このような問題に対応するため、今、「産業保健師の活用」が注目されています。

「産業保健師」とは

 保健師の最も大切な役割は、病気になる前の段階でその予兆を察知し、疾病の発生そのものを予防することです。
 保健師の職種は行政保健師・学校保健師・産業保健師に分類されますが、うち「産業保健師」は、主に民間企業や健康保険組合で産業医や衛生管理者、人事担当者とチームを組み、従業員の健康維持・改善・促進等をサポートする存在です。

産業保健師を活用するメリット

 産業医も従業員の健康をサポートする存在ですが、その業務においては実際に疾病にかかった方への対応や、面接指導等の業務が優先されがちです。
 産業保健師を活用すれば、たとえばちょっとした健康に関する相談、新入社員のフォローなど、産業医だけでは時間や費用の関係で難しかった対応も可能となります。
 産業医と現場、担当者をつなぐコーディネーターとしても機能します。

 また、産業医の選任義務のない事業場においては、産業保健師に健康管理のための各種対応を行ってもらうことで、効果的な産業保健活動を、費用を抑えながら行うことができます。

 近時は派遣スタッフとして働く産業保健師も増えています。活用を検討してみる価値があります。

病気など防ぐため保健指導に従事する保健師の仕事

 「産業保健師」の前に、「保健師」について説明すると、保健師とは人々の病気やけがを予防するための保健指導に従事する人のことです。
 保健師は看護師や助産師と同じ「看護職」であり、保健師になるためには、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格する必要があります。

 保健師の主な働き方としては次のものがあります。

  • 行政で働く「行政保健師」
  • 学校で働く「学校保健師」
  • 病院で働く「病院保健師」
  • 企業で働く「産業保健師」

 また、厚生労働省の「衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、2016年末時点で保健師の就業状況は5万1,280人だそうです。
 そのうち73.6%を占めるのは「都道府県」や「市町村」、「保健所」で働く行政保健師であり、3万7,713人になるそうです。

 企業や工場などの「事業所」で働く産業保健師は6.0%の3,079人でした。
 このように、様々な場所で保健師が活躍しています。

「働き方改革」で専門性に注目が集まる産業保健師

 「働き方改革」が進んだことで、産業医に求められる業務も増加しました。同じように、企業には数多くの健康に関する対応が迫られているため、人事労務担当者の負担が増えていることも課題となっています。
 厚生労働省はその対策として、企業の担当者・産業医・専門職が「チームとなって産業保健活動をすすめる」ことを推進しています。

「産業保健チーム」を構築するためのキーパーソン

 産業医と人事労務担当者の負担を軽減しつつ、従業員の健康を確保するためには、この「産業保健チーム」の構築が効果的です。
 具体的には、これまで産業医のみが行ってきた業務を、医療専門職である産業保健師と分担することです。
 これにより、産業医が行う業務の質の向上が期待できます。

 また、産業保健師には、産業医と企業をつなぐコーディネーターとしての機能もあるため、円滑な保健活動を可能にします。

産業保健師と産業医との違い

 従業員が50人以上の事業場では産業医の選任が義務付けられていますが、保健師の選任については定められていません。このように、産業医と保健師では法的な義務の違いがあります。

 産業医と比較した時、産業保健師の強みとなるのは、企業担当者・従業員との「距離の近さ」が挙げられます。
 産業医を選任している中小企業では、産業医が月に1回訪問するケースがほとんどです。
 また、専属産業医のいる大企業の場合では産業医が常勤しますが、従業員数が多いため、その分産業医と従業員一人一人との接点は限られてしまうことがあります。

健康状態が優れない従業員へ早期対応が可能に

 産業医が従業員の不調を認識する主なタイミングとしては以下のものがあります。

  1. 健康診断の結果に異常の所見があると判断された場合
  2. ストレスチェックで「高ストレス者」と選定され、面談を希望する場合
  3. 時間外・休日労働時間が1月あたり80時間を超え、面談を希望する場合
  4. 時間外・休日労働時間が1月あたり100時間を超えた場合
  5. 本人から面談の希望があった場合     など

 こうしたタイミングが主なきっかけで産業医との接点を生まれますが、その一方で、面談の段階になるまで産業医が従業員の不調を把握しにくいことや、面談対象の基準には達しないものの軽度の不調を抱えた従業員への対応が難しい状態ともいえます。

 産業保健師の強みは、この点のフォローが可能になることです。
 日頃、健康の相談窓口として機能する産業保健師は、従業員にとって身近な存在となるため、潜在している問題の早期発見に期待できます。

 産業保健師も専門的な知識を有していますので、都度、的確なアドバイスが可能となります。
 産業保健師の役割は、従業員それぞれの健康状態を総合的に把握し、早期のフォローアップへつなげることができる「身近な医療専門職」と言えます。

企業にとって産業保健師を導入するメリット

 企業が産業保健師を導入するメリットは、産業保健師が労働者や人事労務担当者、産業医などをつなぐコーディネーター役になることで、企業の産業保健活動をより強化できることです。

 保健師は第一種衛生管理者免許を受けることや、ストレスチェックの実施者になることができます。

 日ごろのメンタルヘルスを含む保健指導や健康相談、健康教育のほか、職場復帰支援や治療と仕事の両立支援など、幅広い産業保健活動の業務を担いますので、産業保健体制を強固なものにしたい企業にとって、産業保健師は心強い存在になるでしょう。

 当社では、まだ産業保健師との接点や関係作りはこれからになりますが、折につけ情報収集して、お客さまに情報提供できるようにしたいと考えています。

参考リンク

厚生労働省「産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集(PDF)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000492931.pdf

【PR】働き方改革コンサルなら(株)グローリレイションへ