HACCPに準じた衛生管理状態視察同席と食品衛生学び

2020年1月31日

HACCPに準じた衛生管理状態監査視察の同席と食品衛生の学び

HACCPに準じた衛生管理は待ったなし

 先日お客さまが取引先より、「『食品事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(厚生労働省)』」に準ずる加工場内と作業内容の確認、及び記録書類の確認」の連絡を受けて、その準備および立会をしてまいりました。ちょっと社名は伏せますが。

 2018年(平成30年)6月、15年ぶりとなる食品衛生法が改正され、原則としてすべての食品関連事業者が、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するために「HACCP(ハサップ)に基づく衛生管理」について計画を定めなければならないこととされています。

 それに対応してか、お客様の現地での視察に至ったようです。とても大事なことですね。
 そのお客さんからは、従前からHACCP認証を視野に入れた業務・マネジメント整備を進めていましたので混乱も無く終わりました。

衛生管理状態確認の書類依頼事項

 その監査において、依頼を受けていたのは次の書類です。

  1. 会社案内(企業理念や会社方針)
  2. 製造工程表、加工場見取り図
  3. 温度計等の校正の記録
  4. 鼠族昆虫のモニタリング・駆除の記録
  5. 原材料の検収(受入)記録
  6. 冷蔵庫、冷凍庫、配送車の温度記録
  7. 金属検出器機の動作確認の記録
  8. 最終製品の微生物検査の記録
  9. 水質検査の記緑、受水槽の清掃記録等(水道水以外を使用の揚合)
  10. 営業許可証、食品衛生管理者(責任者)確認
  11. 衛生管理のマニュアル類
  12. 賞味期限(消費期限)の設定根拠
  13. 従業員の日々の健康チェック表
  14. 従業員の検便の記録
  15. 従業員の教育訓練の記録

 以前HACCPの記事も記載していますので、リンク先を案内しておきます。

→ HACCP義務化と知っておきたい食品衛生管理のポイント

確認内容同席から感じた重要ポイント

 同席させていただき、感じ取ることが出来た重要ポイントは次の通りです。

  1. 衛生状態を維持するための社内の文書化されたルール
  2. 衛生状態を客観的に証明できる数字類
  3. 温度については厳格に記録として残し状態を証明する
  4. 異物混入についての具体的対策
  5. 鼠や害虫類についての具体的対策
  6. 製品の数値による客観的な品質担保
  7. 業務に従事する従業員の健康状態の確認と記録
  8. 従業員に対しての計画的教育訓練の実施と記録

 などなどです。
 とにかく記録が重要なことなのは、ISOなど含め、業務としては本当に重要なことを再認識しました。

HACCP導入のメリット

 HACCPの導入は、有事の際に早急な原因究明ができる点にも役立ちます。その理由は、衛生管理方式が「ファイナルチェック方式」から「プロセスチェック方式」に変わることにあります。

  • ファイナルチェック方式
    従来の衛生管理方式であり、完成品に対してチェックを行うもの
    出荷品全体をチェックすることなく一部のサンプルのみをチェックするため、出荷してから異物混入が判明したり、最悪の場合はその食品を食べた方が体調不良を訴えてはじめて食品が危険な状態であったことが明らかになることもある
  • プロセスチェック方式
    HACCPに準拠した衛生管理方式であり、工程ごとに食品の安全性を管理するもの
    食品の製造過程の時点で異変があった際に、すぐに気付き排除することで、危険な状態の食品を出荷・提供してしまう事を防ぐことができる

 こまめな監視や管理、記録を続けることは容易なことではありません。
 しかし、HACCPを導入してチェック方式を変え、運用を続けることは、結果的にリスクヘッジや自分たちの身を守ることに繋がります。

衛生管理の強化と業務効率化を実現

 HACCPは、導入にあたってこれまでの工程の振り返りや洗い出しが必要となる点や、こまめな記録・管理が必要な点で確かに手間は掛かります。
 しかし、衛生管理の強化や業務効率化の観点から見たメリットを実現できれば、そこに掛ける労力以上に有用だと強く感じました。

 そのお客さまも、せっかくなのでHACCP認証に向かうことが意思決定されました。今後に期待です。

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