幸せな職場の経営学「働きたくてたまらないチーム」

2020年1月8日

幸せな職場の経営学「働きたくてたまらないチーム」の作り方

社員と組織を幸せにするには?

 幸福(ウェルビーイング)を研究する著者が、人が幸せになるために必要な「4つの因子」を明らかにし、それを職場で高めることの重要性を説いています。
 参考になりましたので、シェアさせていただくべく、要旨をブログに転載します。

経済学者ロバート・フランクは財を2つに分類

  • 地位財:他者との比較優位によって価値が生まれ、満足を得られる財。役職や所得、家や車など。
  • 非地位財:他者との比較ではなく、それ自体に価値があり、喜びにつながる財。愛情や自由、健康など。

 心理学者ダニエル・ネトルによれば、地位財による幸せは長続きしませんが、非地位財による幸せは長続きすると述べています。合点がいきますね。

人が幸せになるために必要な「4つの因子」

 著者の調査結果、人が幸せになるために必要なのは、次の「4つの因子」だということです。

  1. 「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
  2. 「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
  3. 「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
  4. 「ありのままに!」因子(独立と自分らしさの因子)

集団主義と個人主義のミックスが肝要

 これからの時代は、集団主義と個人主義、両方の良さを兼ね備えた「ウェルビーイングな組織」が求められると述べられています。
 それは、「個人の幸せ」も「皆の幸せ」も大切にする組織だということです。

 幸せの4つの因子を個人主義・集団主義の面から見ると、2つに分類できます。
 すなわち、1.3.4.は“個”の幸せ、2.は“皆”の幸せを目指す因子です。

 この2つをバランス良く高めることが、幸せな組織や社員を育むことにつながります。

 トップに依存する経営は、変動に弱いく、社員1人1人が全体のことを主体的に考えて動く自律型の組織は変動に耐えます。
 人は主体的になることで学び、成長します。学びや成長は、幸せの4つの因子のうち、①に関連します。つまり主体的であることが幸せにつながります。

 かつては、経済的な豊かさや仕事での成功、社会的な地位で幸せを感じる人が大多数だったと言えるでしょう。
 ところが、バブル崩壊後、時代の変遷とともに、いわゆる「カネ・モノ・地位」に本質的な幸せは見いだせない、と気づく人が増えました。

カネ・モノ・地位による幸せは長続きしない

 アメリカの経済学者ロバート・フランクは、他者との比較優位によって価値が生まれ、満足を得られる財を「地位財」、他者との比較ではなく、それ自体に価値があり、喜びにつながる財を「非地位財」と分類しました。
 地位財は、役職や所得などの社会的地位や、家や車などの物的財のことで、一方、非地位財は、愛情や自由、健康などです。

 給料が上がったり、昇格したりした時などに得られる幸福感は持続しませんが、家族や友人と共に過ごしたり、趣味に没頭したりすることで、人は長期的な幸福感を得られる、と言われます。

 それでも人はつい、目に見えてわかりやすい地位財を手に入れることに懸命になってしまうという性ですね。

従業員満足度から従業員幸福度へ

 従業員が幸せになることが、結果的に会社全体をも幸せにしますので、「従業員満足度」ではなく「従業員幸福度」の向上に力を注ぎたいものです。

 従業員満足度は仕事内容への満足、職場環境への満足、福利厚生への満足など「部分的な充足」を測る指標であるのに対して、従業員幸福度は、人間関係や家庭環境、余暇の楽しみなどをすべて含む、人間としての「人生全般に関わる全体的な充足」を測る指標だからです。

 働き方改革も同様です。現状では、時短や残業削減など、単なる「働き方の改善」になりがちです。しかし本当の「改革」を実現するには、働き方自体を抜本的に変革する必要がありますから、「幸せ経営改革」を行うと同時に「働き方改革」を行うべきなのでしょう。

管理しない一丸チームが結果を出す

 10年、100年という長期スパンで考えると、トップだけに依存する経営では変動に弱くなります。
 そうではなく、社員1人1人が輝きながら協力し、社長と同じような気持ちで仕事に取り組む組織は、変動にも耐えられます。

 そこにあるのは競争や戦いではなく、「共創」や「調和」です。

 「共創」や「調和」を引き出すためには、まずチームリーダーがこの考えを信じ、メンバーに拡散していく必要があります。
 そして、どんな人にも必ず素晴らしい部分があるから、リーダーはそこを引き出すべきなのでしょう。

 主体的になることで人は様々なことを学び、成長します。学びや成長、達成感は幸せの第1因子「やってみよう!」因子に関連します。
 つまり主体的であることが幸せにつながります。このようにして、「働きたくてたまらないチーム」を実現していただきたいし、当社も目指したいと考えています。

幸せな職場の経営学 主要目次

  • 1章 どんな職場が「幸せ」なのか
  • 2章 ウェルビーイング第一主義が世界を変える
  • 3章 幸せな職場の実践例
  • 4章 職場の悩みQ&A すべての組織は幸せになれる!
  • 5章 実践編・職場で今すぐできる幸せのレッスン
  • 6章 働き方の未来

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