男性の育児休業取得率とパタハラ(パタニティ・ハラスメント

2020年1月21日

男性の育児休業取得率とパタニティ・ハラスメント(男性の育休取得者への嫌がらせ)

育児休業取得率、女性は高水準・男性は低調

 厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」により、最新の育児休業取得率(調査対象事業所における、出産者(男性の場合は配偶者が出産者)のうち育児休業を開始した者の割合)が判明しました。

 女性の取得率は82.2%で、10年以上高水準で安定しています。その一方、男性の取得率は6.16%ということで、6年連続で上昇してはいますが、依然としてきわめて低調です。

男性の育児休業を促進する動き

 そのような中、2019年6月5日、自民党の有志議員が「男性の育児休業義務化」を目指す議員連盟の設立総会を開きました。
 議連は、本人からの申請がなくても、企業から「育児休業を取らないのか」と促すことを義務付ける仕組みの制度化を目指すとし、育介法の改正などを視野に活動するとしています。

パタハラ疑惑で炎上する企業

 おりしも、大手化学メーカーにおいて、パタニティ・ハラスメント(男性の育休取得者への嫌がらせ)疑惑が取りざたされています。
 報道等によれば、ある男性社員が約1カ月弱の育児休業休職を取得したところ、職場復帰した翌日に転勤を命じられ、その後の転勤時期をずらす交渉等もまとまらず、退職を余儀なくされたといいます。

 男性の妻が、社名をほのめかした発信をTwitter上で行い、またたく間に社会問題化してしまいました。

 同社は「くるみん」(厚生労働省による子育て支援に積極的な企業への認定マーク)を取得していたため、前述の議連からも「くるみんを取得していても、あのような事例があったのは残念」と名指しでコメントされる等、望ましくない事態となっています。

違法性がなければよいとは限らない

 法律上、使用者は「労働者の子の養育(略)の状況に配慮しなければならない」(育介法26条)とされていますし、必要性のない配置転換であれば「権利の濫用」(労契法3条5項)とみなされる恐れもあります。

 また、違法性がないとしても、ハラスメント行為と世間からみなされることとなれば、上記化学メーカーのように大きなイメージダウンとなり、企業活動にも支障をきたすことでしょう。
 法律の正しい理解と、マタハラ・パタハラを生まない職場づくりが大切です。

参考リンク

厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html

<出典:日本法令 http://www.horei.co.jp/>

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