令和元年版 労働経済白書の要旨(働きやすさと働きがい

2020年1月8日

令和元年版 労働経済白書の要旨(働きやすさと働きがい

雇用管理ポイントは「働きやすさ」と「働きがい」

 厚生労働省は、「令和元年版労働経済の分析」(以下、労働経済白書)を公表しました。
 今回の労働経済白書では、人手不足下での「働き方」について、「働きやすさ」と「働きがい」の観点から分析が行われています。

 多くの企業が人手不足を緩和するために、求人条件の改善や採用活動の強化などの取り組みを強化している一方で、「働きやすさ」や「働きがい」を高めるような雇用管理の改善については、さらに取り組んでいく必要があるとしています。

賃金は増加の傾向

 2018年度の現金給与総額(月額)は、5年連続の増加となりました。一般労働者の名目賃金およびパートタイム労働者の時給も増加しています。
 白書によると、人材確保のために7割近くの企業が「求人募集時の賃上げ」や「中途採用の強化」を行っています。

 しかし、それでも多くの労使が人手不足による職場環境への影響を感じており、「働きやすさ」、「働きがい」の低下を実感しています。
 「働きがい」を向上させるためには、その前提として「働きやすさ」の基盤がしっかりと構築されていることが重要です。

 「働き方改革」を両観点から、より一層推進していくことが、人手不足を緩和していくことに繋がります。

「働きやすさ」のカギ

 男女、年齢を問わず、働きやすさの向上には「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」が必要であると考えている労働者の割合が最も多く、次いで「有給休暇の取得促進」、「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」が多くなっています。

 15~44歳の女性にとっては「仕事と育児との両立支援」も働きやすさに関する重要な要素です。
 有給休暇の取得促進や労働時間の短縮、働き方の柔軟化などの雇用管理が、従業員の働きやすさの向上、離職率の低下、新入社員の定着率の上昇につながると考えられ、企業に対応が求められるところでしょう。

「働きがい」をもって働くために

 「働きがい」を高めるには、職場の人間関係の円滑化や労働時間の短縮などに加えて、上司からの適切なフィードバックやロールモデルとなる先輩社員の存在を通じて、将来のキャリア展望を明確化することが重要です。
 また、質の高い「休み方」(リカバリー経験)が疲労やストレスからの回復を促進し、「働きがい」を高める可能性があることにも注目です。

 「働きやすさ」の向上が定着率などを改善し、「働きがい」の向上が定着率に加え、労働生産性、仕事に対する自発性、顧客満足度などさまざまなアウトカムの向上につながると考えられます。白書では、具体的な企業の取組例も紹介されており、参考にできそうです。

参考リンク

厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06963.html

<出典:日本法令 http://www.horei.co.jp/>

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