「働き方改革」についての小野寺均氏の考え方

2020年4月1日

「働き方改革」についての小野寺均氏の考え方

働き方改革を実践していた強力助っ人小野寺均氏

 当社はでは、NECさんに長期に人事労務畑を歩まれ、終盤ではNEC関連会社さんで経営的ポジションで舵取りをされていました、小野寺均氏を業務委託でコンサルタントとしてお迎えしました。
 小野寺氏は人事労務系や経営管理、そして働き方改革や内部統制などの技量が優れ、当社も良い縁をいただいたものと感謝しているところです。

 小野寺氏が過去の体験等をベースに「働き方改革」について記述を寄せていただきましたので、ブログでご披露いたします。

小野寺均氏の「働き方改革」についての意見

 私がこれまで勤めていた会仕は長時間残業が一般的であり、残業削減についてはずっとやってきておりました。また、直近の会社では経営幹部として社員を動かす立場についていました。そういう経験から、私が思う「働き方改革」についてまとめてみました。なんらかのご参考になれば幸いです。

1.「働き方改革」という言葉が持つ多様性、または曖昧さ

 「働き方改革」という言葉にはいくつもの意味合いが含まれております。長時間残業が常態化し、労基法や36協定に違反し、サービス残業が見られるような会社にとっては、まずは法令遵守ということになるでしょう。

 一方、人手不足の中で採用力を高めたい企業にとっては、残業時間が36協定以内であっても更に残業を減らし、休暇取得がしやすい、いわゆる社員のワークライフバランス実現が目的になると思います。

 「働き方改革」という旗を掲げるのは良いと思うのですが、その言葉からイメージする内容が各人で異なると会社のベクトルも一致しない可能性が出てきます。

2.経営者の立場からの「働き方改革」

 上記1で述べたような「多様性、または曖昧さ」がある中で、経営者が「働き方改革」に取り組むためには、経営の目的は何かということを常に忘れないことが大事だと思います。

 「経営の目的」というと人によっていろいろな意見があるかもしれませんが、経営者の立場であれば、私は利益を増大させていくことだと思います。株式会社であれば、株式会社の持ち主である株主へのリターンが利益の中から出されます。

 株式会社でない場合であっても、利益が出るということは自らの製品やサービスが社会に受け入れられた証左ですし、さらに製品やサービスを広めるための原資に利益が充当されます。

3.従業員の立場からの「働き方改革」

 残業代を前提に月々の生活やローンの返済をしている方は多くいます。したがって、「働き方改革」によって残業時間が減り、自分の自由にできる時間が増えるといっても、モチベーションが上がらない従業員もいるのではないかと思います。

 「働き方改革」を実効性のあるものにするためには、経営者、管理職、従業員の気持ちを一つにする必要があります。
 それでは、従業員のモチベーションが上がるのは何でしょうか。

 私の経験では予算を達成することが結構大きいと思います。全仕もそうですし、全社の予算が未達でも自分の属している部門の予算が達成できれば充実感を得て、また頑張ろうという気になるものです。

4.「働き方改革」の目的をはっきりさせる

 「働き方改革」という言葉の多様性または曖昧さを払しょくし、全社のベクトルを一致させるためには、自社として「働き方改革」で何を実現するのかを社員に明示することが必要だと思います。

 経営者の立場、従業員の立場を総合的に勘案すると、私が考える「働き方改革」の目的は次のようになります。

  • 「働き方改革」による生産性向上で予算達成
  • 「生産性向上」を企業一丸となって取り組む
  • 残業時間の削減とかその結果として実現されるワークライフバランスとかは、生産性向上の取り組みのなかにビルトインすることで自ずと実現されていくことになる

 予算達成のために皆で生産性を向上させることによって、自然に早く帰るようになるということです。

5.生産性向上を見える化するために

  1. 労働生産性(付加価値÷労働者数)
  2. 人時生産性(付加価値÷労働時間)

 これらを指標にするのは大事だと思います。

 私は1の労働生産性も使っていましたが、付加価値÷(社員の人件費+派遣費用)という指標も使っていました。
 社員に加えて安い派遣社員や嘱託を使うことで人件費コストを抑える雇用ミックスという施策を取っていたので、分母を人に関わるコストにした訳です。

 また、労働生産性は伸びているのに利益が減るという現象も起きますので、利益の伸びも指標としてみていました。

 一つの指標だけ重視すると管理職はその指標の見栄えを良くするような行動をしがちなので、生産性を見るためには複数の指標を使って総合的に分析、判断する必要があります。

(次回に続く → 「働き方改革」に向けての具体例(小野寺均氏

参考リンク

小野寺均氏経歴:日本経済新聞「人事、NECファシリティーズ(2016.06.20)」
https://www.nikkei.com/article/DGXLMSJP10101_Q6A620C1000000/

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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