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戦略完遂力(人と組織を動かす6つの策)からの学び

戦略完遂力(人と組織を動かす6つの策)からの学び

経営戦略を「絵に描いた餅」に終わらせず完遂するには

 堀江庄平氏著の「戦略完遂力(人と組織を動かす6つの策)」(日経BP、2019年9月17日発行/215頁)が参考になりましたので残しておきます。

 経営戦略を「絵に描いた餅」に終わらせず完遂するにはどうしたら良いのか、戦略の「実行」段階における失敗原因を明らかにして、その対策が提言されている良書です。

 内容をかいつまんでご紹介しながら、当社でも肝に銘じていきたいと考えています。主要目次を先に記します。

戦略完遂力の主要目次

  • 序章 失敗頻発、経営戦略の残念な実態
  • 1章 最も怖い「動かない組織」の罠を回避
  • 2章 「迷い」を断ち切るアクションプラン
  • 3章 不足する組織ケイパビリティーを補完
  • 4章 不測の事態への対処、戦略修正も視野に
  • 5章 実行部隊のモチベーションを維持せよ
  • 6章 戦略の成果を一過性で終わらせない

失敗原因の約9割は「実行上の問題」

 経営戦略の実行経験者にアンケート調査を行ったところ、回答を得た515人の76%が失敗を経験しているそうです。
 そして、失敗原因の約9割は「実行上の問題」だったことが明らかにされています。

 経営戦略をとん挫させる実行上の問題を6種類に大別しており、その問題と対策を次の通り紹介しています。

1.組織として戦略を動かすための体制・マインドが整っていない

 次の4つの打ち手を講じ、「組織を動かす」準備を整えることが重要になります。

  1. 役員クラスをトップに据えた体制づくり
  2. 数値目標の明示
  3. 社員の「やる気」の醸成
  4. 適材適所の人選

2.アクションプランが十分に練られていない

 実行部隊の社員を「迷わせない」よう、具体的な内容を明示したアクションプランを策定し、丁寧に指示します。

3.組織ケイパビリティーが準備されていない

 実行要員の人数やスキルを充実させるとともに、組織の制度や仕組みを整えることで組織としての能力を高めます。

4.プロジェクトマネジメントの要諦が押さえられていない

 不測の事態が生じた時は、1で整えた「実行管理・支援チーム」が、戦略内容をアジャスト(調整)します。

5.社員のモチベーション低下に関する対策がとられていない

 実行部隊のモチベーションを把握するためにアンケートやヒアリングを行い、そして、モチベーション低下の原因をつかんだら、高める手を打ちます。

6.継続的な改善活動とするための対策がとられていない

 戦略で決めたルールを明文化し、守られているかを確認できる仕組みを整備し、改善プロセスを用意・定着させます。

失敗頻発、経営戦略の残念な実態

 企業は新規事業開発や新たなマーケット開拓などありとあらゆる経営戦略を次々に打ち出します。そうした戦略の中には、成果が順調に上がるものもあれば、そうでないものもある。

経営戦略の失敗経験は例外なく経験している

 著者は2019年4月、売上高100億円以上の企業を対象に、経営戦略の立案やその実行状況に関するアンケート調査を実施しました。集計結果の中でとりわけ目を引くのは、成功裏に完遂できなかった経営戦略が非常に多いことです。

 「とん挫した経験があるか」では、実に4人のうち3人が経営戦略の失敗を経験している計算です。詳述を省きますが、実際は1人の例外もなく失敗を体験しているのだということでした。ホッとするような感じでもあります。

失敗原因の9割は「実行上の問題」

 とん挫した理由を質問したところ、「戦略の実行可能性が低かった、方向性が間違っていた」と戦略自体の問題を挙げたのは、とん挫経験がある人のうちわずか9%のようでした。残りの約9割は「戦略に問題はなく、実行上の問題があった」としていました。

 「実行上の問題」を掘り下げ、戦略がとん挫した理由を見ていきますと、その結果、経営戦略の成果を思うように上げられなかった企業は、次の6種類の問題に直面してきた状況が浮かび上がっています。

  1. 組織として戦略を動かすための体制・マインドが整っていない。
  2. アクションプランが十分に練られていない。
  3. 組織ケイパビリティーが準備されていない。
  4. プロジェクトマネジメントの要諦が押さえられていない。
  5. 社員のモチベーション低下に関する対策がとられていない。
  6. 継続的な改善活動とするための対策がとられていない。

 このように、経営戦略の実行フェーズでは様々な問題が起こり、失敗原因の9割を占めています。肌感覚で実感できるのではないでしょうか。

 この事実から言えるのは、「実行上の問題を戦略の策定時に認識し、しっかりと対策を立てておけば、戦略実行の成功率を一気に引き上げられるはず」ということでしょう。

6つの問題点への対策

 では、前述した6つの問題点ごとに、戦略の完遂力を高める実践的な手立ても述べられており、概要をご紹介します。

1.「組織を動かす」準備をしっかりと整える必要があり、そのための打ち手は次の4つ。

  1. 役員クラスをトップに据えた体制づくり
  2. 数値目標の明示
  3. 社員の「やる気」をそぐ壁を壊す
  4. 責任者の適切な人選と担当者の明確化

2.アクションプランが十分に練られていない

 アクションプランは、「アクション」「担当」「ゴール/成果物」「備考」「タイムライン」が必須の5項目となり、アクションの粒度には、最も粗い「目的レベル」と、誰もが実行可能な「作業レベル」、これらの中間にあたる「方法論レベル」という3段階があります。

 目的レベルのアクションで示すのは、最終的なゴールになり、作業レベルとは、具体的に何をすべきかを詳細に明示したものを意味します。作業段階でのアクションプランを漏れなく練って実行に移すことが肝要だというわけです。

3.組織ケイパビリティーが準備されていない

 組織として持つ能力(組織ケイパビリティー)は企業によって異なり、組織ケイパビリティーの要素は3つあります。

  1. 実行要員のスキルセット
  2. 実行要員数
  3. 組織としての戦略実行基盤

 1と2は個人のスキルセットに依存していますが、それぞれ組織が抱えるスキルセットの「質」と「量」に相当します。質と量のどちらか一方でも不足していれば、戦略の実行に悪影響をもたらします。

 もう1つ重要なのが、質と量を生かすための「土台」、すなわち組織としての戦略実行基盤(制度や仕組みなど)を整えることになります。

4.プロジェクトマネジメントの要諦が押さえられていない

 経営戦略の実行を成功に導くためには、事前の「計画」が何よりも大切であり、この大役を担うのは、「プロジェクト・マネジメント・オフィス( PMO )」になります。PMOは問題が起これば速やかに支援策を講じる役割を持つわけです。

 どんなに周到に計画したつもりでも、実行フェーズで計画と実情にズレが生じ得ます。PMOはこのズレを埋めるために「状況に応じて戦略内容をスピーディーかつ臨機応変にアジャスト(調整)する」という極めて重要な役割も持っているわけです。

 PMOのスキルと舵取りが、経営戦略の成否に決定的な影響を及ぼすケースはとても多く、PMOの最も重要なミッションは、プロジェクト推進中に戦略をアジャストすることになります。

5.社員のモチベーション低下に関する対策がとられていない

 実行フェーズの開始後、数カ月で訪れる「モチベーションの低下」も計算しておく必要があります。肝心なことは、やる気が下がり始めた兆候をすかさず捉えることであり、そして再びモチベーションを引き上げる策を間髪入れずに講じることになります。

 そして、実行部隊のモチベーションが低下している兆候や原因をつかんだら、モチベーションを高める手を打つ必要があります。実行部隊と継続してコミュニケーションを図ることは、低下しかかったモチベーションを高める上で、思いのほか大きな効果をもたらすと言及されています。

6.継続的な改善活動とするための対策がとられていない

 経営戦略の難しいところは、戦略で定めた「あるべき姿」が外部環境の変化によって影響を受ける点にあります。
 経営戦略の実行後、しばらくしてから社内を見回し、「戦略で決めたルールとは違う進め方をしている業務」があれば要警戒になります。

 さらなる改善によって進め方が変わったのならよいが、そうでないのなら、本来の手順や手続きが失われている恐れがあります。
 このような風化や後退を防ぐための基本的な打ち手は、大きく2つあります。

 1つは、規定やルールの形で業務処理要領や手順書に明文化するとともに、規定やルールが守られているかを確認できる仕組みを整備すること。
 2つ目は、自発的に新たな成果の創出に取り組めるような、改善プロセスを用意・定着させること。

 前者の打ち手で風化や後退を食い止め、後者の打ち手で戦略を進化・発展させるわけです。

実行上の問題点を事前に意識して完遂力を高めたい

 概要をご紹介してまいりましたが、身につまされるリーダーも多かったのではないでしょうか。戦略そのものの質を高めることも重要ですが、ご紹介した実行上の予想されえる問題点を整理し、事前に意識・準備して、完遂力を高めることが重要だと痛感しました。

 リーダーは様々な課題を事前に想定して潰しておき、完遂力を高めながら、執念を持って成功に向かいたいものです。

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