厚労省の調査結果にみる平成29年賃金改定の実態

2020年1月24日

厚労省の調査結果にみる平成29年賃金改定の実態

100人以上300人未満企業の賃上げ実施率は「85.6%」

 厚生労働省が2017年11月下旬に公表した「平成29年 賃金引上げ等の実態に関する調査」によれば、「1人平均賃金(所定内賃金の1人当たり平均額)を引き上げた」と回答した100人以上300人未満企業の割合は85.6%で、前年(84.4%)を上回りました。
 全企業では87.8%が引上げを実施しており、こちらも前年(86.7%)を上回りました。
 業種別では、電気・ガス・熱供給・水道業の97.6%が最も高く、建設業(97.1%)、製造業(95.7%)が続きます。

改定額は?

 改定額は、企業規模によって幅があります。全企業では5,627円ですが、5,000人以上企業では6,896円、1,000人以上5,000人未満企業では5,186円、300人以上999人未満企業では5,916円と、いずれも5,000円を超えました。
 100人以上300人未満企業では4,847円でしたが、前年(4,482円)を上回りました。
 業種別では、建設業(8,411円)が突出して高く、不動産業、物品賃貸業(6,341円)、情報通信業(6,269円、製造業(6,073円)が続きます。

改定率は?

 改定率は企業規模による差異は小さく、全企業で2.0%、100人以上300人未満企業でも1.9%でした。
 改定率でも、改定額と同じ4業種が2.5~2.1%で高い結果でしたが、生活関連サービス業、娯楽業、医療、福祉でも2.1%となっています。

改定に踏み切った理由

 調査結果によると、100人以上300人未満企業で賃金改定にあたり最も重視した要素は「企業の業績」(55.8%)でしたが、参考値となっている全企業の複数回答計の上位3つは、「企業の業績」(65.8%)、「労働力の確保・定着」(34.0%)、「雇用の維持」(28.5%)でした。
 人手不足等により、やむを得ず賃上げに踏み切った企業もあるかと思いますが、平成30年度税制改正では、所得拡大促進税制を拡充し、中小企業が1.5%の賃上げを実施した場合に給与増加分の15%を法人税額から差し引けるようにする案が盛り込まれる見通しで、こうした施策の活用を検討する企業が増える可能性があります。

参考リンク先

(厚生労働所)賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要

<出典:日本法令 http://www.horei.co.jp/>

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