注目裁判例から考える皆勤手当

2020年1月21日

注目裁判例から考える皆勤手当

ハマキョウレックス事件の差戻審判決

 昨年2018年6月は、正規雇用と非正規雇用との待遇格差に関する大きな最高裁判決(長澤運輸事件とハマキョウレックス事件)があり、たいへん注目を集めました。

 このうちハマキョウレックス事件は、被上告人が皆勤手当の支給要件を満たしているか等について審理を尽くさせる目的で差戻しとなっていましたが、この差戻後の大阪高裁判決が2018年12月21日にあり、契約社員に対する皆勤手当の不支給は不合理な差にあたるとして、皆勤手当相当額32万円(32カ月分)の支払いが命じられました。

皆勤手当とは

 一般的に「皆勤手当」は、一定期間内においてまったく欠勤しなかった従業員に支給される手当をいいます。
 特に業務の多くがシフト制である会社や、欠員の交代要員の確保が難しい会社などにおいて、従業員の欠勤や遅刻の抑制、積極的な出勤の奨励を目的として導入される傾向にあります。

 時間外労働等の割増賃金を計算する際は、基準となる賃金に含まれます。

精勤手当とは

 「精勤手当」「出勤手当」等という場合もあります。
 「精勤」は「熱心に勤務する」というような意味の言葉ですので、「1日も欠勤しない」というほど厳密なニュアンスはないものの、その趣旨は皆勤手当と同様です。

皆勤手当の導入割合

 労働政策研究・研修機構「企業の諸手当等の人事処遇制度に関する調査」によると、精皆勤手当・出勤手当を制度化している企業の割合は、期間を定めずに雇われている常用労働者で22.3%、パートタイム労働者で8.6%となっています。
 正規雇用に比べ、非正規雇用への支給が少ないのが現状です。

「不合理な格差」はNG

 上記差戻判決は、正社員と契約社員の間で職務内容(配送業務)が同じであり、出勤する従業員を確保する必要性も同じであるとして、皆勤手当について格差を認めませんでした。

 昨年2018年末には、いわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」も公表されました。
 皆勤手当だけでなく、さまざまな待遇において不合理な格差は認められない時代となっていることに、留意が必要です。

<出典:日本法令 http://www.horei.co.jp/>

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