よく機能している経営者は思いが強い(冨山和彦氏「会社は頭から腐る」から)

2020年2月7日

 冨山和彦様が著述されました「会社は頭から腐る」の終わりの方の一節です。

 氏は、ご存知「産業再生機構」のCOOをお務めになられた経営のプロですが、とても読み応えのある本でした。

 どこも参考になりましたので、備忘のつもりで、印象深い箇所をたまに言及していきたいと考えています。

 今回は、エピローグで述べられているくだりで、「よく機能している経営者は思いが強い人である」という箇所です。

(ここから引用)

自分自身も経営と格闘してきて実感として少しずつわかってきたような気がするのは、よく機能している経営者というのは、あらゆる意味で「思い」の強い人だということです。
お客様を思う心、取引先を思う心、仲聞や従業員を思う心、そして事業を、会社を思う心の強さです。

これらすべてが矛盾をはらんでいます。お客様は事業が経済的に成り立つ根本である収入の源泉です。
お客様には期待以上の商品やサービスを提供して満足してもらわなければなりません。
しかしその一方でこちらの原価以上の対価を払ってもらわなければ商売はすぐにつぶれてしまいます。

強く「思い」続ける人はそういった矛盾や葛藤から逃げません。
必死で苦闘し、自己否定、自己革新を繰り返しながら問題を調和合一する解を見出していきます。

卓越した経営者から否応なしに感じられる哲学や志、信念のようなものも、こうした苦悩の中から自分の力で築き上げてきた何かがあるからなのかもしれません。

逆にいえば、迷いと懊悩の底にあって、真のリーダーが頼りにするものも、おそらくは哲学的次元の経営観、人生観のようなもののように思います。

私自身、今までの限られた経験の中で、合理と科学を尽くした先の、最後の決断に際しては、哲学的、宗教的な心境になったことが何度かありました。

(ここまで)

 本当にその通りだと感じました。

 自分の本当に拙い経験の中からでも、強く同意できる箇所です。

 自分と格闘するのはそんなに簡単なことではありませんね。
 足りない自分を心から自覚するというのは、本当に切ないものです。
 今までの自分自身を否定する作業が不可欠なので切ないのですね。

 しかしながら、今のその課題を確実に仕留めないと、また次に否応なしにその弱いところが出てきてしまいます。
 何度でも何度でも、結局は解決するまで弱い自分と戦わざるを得ないものです。

 弱い自分を自覚し、答えが出るまで継続させるタフさを持たなければいけないのですが、つらいですね。

 自分(菅野)が生命保険会社で営業所長でリーダーの真似事をしていた時に、そのようなことをいつも痛感していました。

 「今はそのように自分自身と格闘し、解答探しの旅をしているのか?」自分自身に改めて問うてしまいました。

冨山和彦著述「会社は頭から腐る」

(株)グローリレイションの菅野哲正がお届けしました。