これからどうなる日本の外国人労働者政策(2017.11月
出入国管理及び難民認定法・法務省設置法を改正に
政府は平成30年10月2日、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた法案を閣議決定しました。
閣議決定されたのは、「出入国管理及び難民認定法」と「法務省設置法」を改正する法案です。「入管法」の改正案では、これまで専門技能を持つ人に限られていた外国人労働者の受け入れを拡大するために、新たな在留資格となる「特定技能1号・2号」を創設予定です。
また、語学の習得など、外国人労働者が日本で働いていく上で必要な生活上の支援を行うよう、企業側に求める内容になっています。
人手不足が深刻化している介護や建設業など14業種が検討されており、より熟練した技能を持つ「特定技能2号」については、業種が絞り込まれるとみられます。
一方、「法務省設置法」の改正案では、これまで法務省内に設置されていた入国管理局を再編・格上げした「出入国在留管理庁」を新設する予定です。
政府・与党は来年2019年4月1日の制度開始に向け、今の国会で法案を成立させる方針で、10月13日の審議入りを目指しています。
これまでの政策の実態とどう変わっていくのか
そもそも、日本政府の外国人労働者政策の基本スタンスは、1988年「第6次雇用対策基本計画」以降、専門的・技術的な知識やスキルを有する高度外国人材は積極的に受け入れる一方、それ以外の非熟練分野などの外国人(非高度外国人材)は、労働力不足への対応や就労目的では原則受け入れないというものでした。
この30年間、日本社会では人口減少や労働力不足への対策として外国人の受入れが俎上に載せられたこともありましたが、政府は国民的コンセンサスを踏まえる必要性などを理由に、基本スタンスを堅持し、具体的な議論には発展しませんでした。
政府が外国人受入れスタンス転換をした主な転換点
今般、政府はこのスタンスを転換したことになりますが、主な転換点は、次の2点に集約できます。
- 「非」高度外国人材に対して、
- 労働力不足を補うことを企図した就労目的の在留資格を創設する
実態をみれば、日本国内で雇用されて働く外国人労働者は、2017年10月末時点で127.8万人と過去最高を記録しています。
在留資格別の割合をみると、就労を目的とした在留資格者は全体の2割以下にとどまっており、大部分は、就労以外を目的とした在留資格で入国・滞在を認められた外国人で占められている点が特徴的です。
外国人をいかに仲間として尊重し合い連帯するか
今般の新たな在留資格創設に伴い、対象となる業種、受入れ期間、求める能力などの入国要件に注目が集まりがちですが、入国後、企業や地域社会がいかに外国人を受け入れ、仲間として尊重し合い、そして組織発展に連帯していくのかの思案が必要でしょう。
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