新型コロナ特措法「緊急事態宣言」は市民生活にどんな影響がある

2020年4月19日

新型コロナ特措法「緊急事態宣言」は市民生活にどんな影響がある

2020.04.07(火)「緊急事態宣言」発せられる

 ついに日本でも「緊急事態宣言」が2020年4月7日(火)に出されました。
 これによって、私たちの生活にはどのような影響があるのか、心配している方も多いでしょう。
 当社でもスタッフがテレビのニュースに釘付けになり、その内容理解に努めておりました。

新型コロナ特措法「緊急事態宣言」主要ポイント

 ネット上に様々な情報がすでに出ておりますので、その中で、ヤフーの「The Page」の記事をそのまま転載させていただき、忘れ防止にしておきたいと思います。

 主要ポイントは、都道府県知事が、学校や娯楽施設について利用の制限を「要請する」ことが可能で、それに従わない場合は「指示する」ことができます。
 ただ住民の外出については「自粛を要請する」ことができるだけです。

 その一方で、医療提供体制の確保に関しては、強制性や罰則を伴うケースがあります。詳細は以下の転載記事で確認ください。

新型コロナ特措法の「緊急事態宣言」とは? 市民生活にどんな影響がある?

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200405-00010002-wordleaf-pol&p=1
2020/4/5(日) THE PAGE 17:00配信

 新型コロナウイルスの感染が日本全国で広がり続ける中、改正新型インフルエンザ等特別措置法(特措法)に基づく「緊急事態宣言」が出るのかどうかに注目が集まっています。言葉の響きから、私たちの市民生活がさまざまな強権的な制約を受けるような印象もあるかもしれません。もし「緊急事態宣言」が出された場合、どんな影響があるのでしょうか。特措法の条文を中心に見てみましょう。(条文はいずれも要約したもの。一部政令の内容含む)

誰がどんなふうに出す? 要件は?

 いま取り沙汰されている「緊急事態宣言」は、今年3月に改正された新型インフルエンザ等特措法(2012年成立)に基づくものです。新型コロナウイルスにも対応できるように改正されました。
 「緊急事態宣言」は、対象となる感染症の流行状況が一定の条件を満たしたと判断された場合、首相が発令します。
 ではどんな場合に出せるのでしょうか。以下の2つの要件を同時に満たす必要があります。(特措法32条)

  • 国民の生命や健康に著しく重大な被害を与える恐れがある場合
  • 全国的かつ急速なまん延により、国民生活と経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある場合

 実際に首相が「緊急事態宣言」を出す際は、(1)実施する「期間」(2)実施する「区域」(3)「緊急事態」の概要、を示すことになっています。

 期間は「2年以内」と定められていて、「1年を超えない」範囲で延長することができます。区域は原則、都道府県単位で指定されますが、感染状況によっては隣接県や日本全域の指定もあり得るといいます。

 いったん決めた期間や区域は、流行状況に応じて変更する可能性があるほか、緊急事態の対応が必要なくなった場合は、速やかに緊急事態「解除宣言」をします。

 緊急事態宣言の発出からの一連のこうした決定は、国会に逐次報告することになっています。
新型コロナ特措法の「緊急事態宣言」とは? 市民生活にどんな影響がある?

住民の外出や娯楽施設使用は禁止されるの?

 では「緊急事態宣言」が出た場合、政府や自治体は何ができるようになるのでしょうか。
 首相から宣言が出されると、特措法に基づき、その都道府県の知事にさまざまな権限が与えられます。
 特措法では「まん延の防止に関する措置」として、知事がその区域の住民に、定められた期間、以下のような行動を制限するよう要請できます。

 ポイントは、学校や娯楽施設について、知事は利用の制限を「要請する」ことが可能で、それに従わない場合は「指示する」ことができます。ただ住民の外出については「自粛を要請する」ことができるだけです。

【外出自粛】(特措法45条)
生活維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないことを「要請」できる。

【施設利用制限:学校など】(同45条と政令)
学校や社会福祉施設などの使用の制限や停止などを要請できる。

 これらの施設には、保育所や介護老人保健施設などのほか、大学や専修学校(※)も対象に含まれます。

【施設利用制限:娯楽施設など】(同45条と政令)
映画や音楽、スポーツ施設などの使用の制限や停止、またはイベント開催の制限や停止などを要請できる。

 具体的には、以下のような施設が対象になります。

  • 劇場や映画館、演芸場(※)
  • 百貨店やスーパーマーケット(※)
  • ホテルや旅館(※)
  • 体育館や水泳場、ボーリング場(※)
  • 博物館や美術館、図書館(※)
  • キャバレーやナイトクラブ、ダンスホール(※)
  • 理髪店や質屋、貸衣装屋(※)
  • 自動車教習所や学習塾(※)

 ただし、百貨店やスーパーマーケットについて、食品や医薬品、衛生用品、燃料など医療や生活必需品の売場は対象外になっており、営業することができます。

(※)…いずれも建物の床面積1000平方メートル超のもの

「要請」に従わなければ「指示」も可能

 ここまでは「要請」のみでしたが、施設の利用制限について、正当な理由なく「要請」に応じない場合、知事は「指示」をすることができます。ただ罰則などの強制力はありません。

【施設利用制限の指示】(同45条3項)
正当な理由がなく要請に応じないときは、必要があると認めるときに限り、施設管理者らに対して、指示することができる。

 また、知事は緊急物資や医薬品などの運送も「要請」「指示」することができます。

【緊急物資の運送】(同54条)
知事は、運送事業者である指定公共機関などに対し、必要な医薬品や緊急物資の運送を要請することができる。正当な理由がなく要請に応じないときは、指示することができる。

医療提供をめぐっては「強制性」「罰則」も

 一方、医療提供体制の確保に関しては、強制性や罰則を伴うケースがあります。

 知事は、臨時の医療施設を建設する際、土地などを強制使用できるほか、医薬品やマスクなどの売り渡し要請に企業などが応じない場合、強制収用できます。土地の立ち入り検査に応じない場合や、医薬品などの保管命令に従わなかった場合には罰金などを課すことができます。

【医療施設用の土地使用】(特措法49条)
知事は、臨時の医療施設を開設するため、土地や建物などを所有者らの同意を得て使用することができる。所有者らが正当な理由がなく同意をしないときや所有者の所在が不明な場合は、同意を得ないで土地などを使用することができる。その土地や建物などに立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処する。

【医薬品の売り渡しや保管】(同55条)
知事は、医薬品や医療機器、食品などについて、企業などに対して、これらの売り渡しを要請することができる。正当な理由なく要請に応じないときは、これらの特定物資を収用することができる。

知事は、特定物資の生産や集荷、販売、輸送などを行う企業などに対し、保管を命ずることができる。この命令に従わず、隠したり、廃棄したり、搬出したりした場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。また保管状況の立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処する。

「緊急事態宣言」=「ロックダウン」ではない

 新型コロナウイルスに対応するために特措法が改正された際、この改正法の適用期間は、政令によって2021(令和3)年1月31日まで、と定められました。
 政府はこの改正特措法の成立を受け、3月26日に「対策本部」を立ち上げ、「基本的対処方針」を取りまとめました。これには新型コロナウイルスの発生状況や対策の概要などが記されています。

 今後、安倍晋三首相は感染症の専門家らによる「諮問委員会」の助言を受け、「緊急事態宣言」を出すかどうか判断していくことになります。首相は3日の参院本会議で「現時点ではまだ、全国的かつ急速なまん延という状況には至っておらず、ぎりぎり持ちこたえている」との認識を示しています。

 感染が全国的に広がる中で、各知事からはすでに「外出自粛やイベント自粛の要請」が出されていますが、政府による「緊急事態宣言」が出されるのかどうかに注目が集まっています。

 「緊急事態宣言」に加え、東京の「ロックダウン(都市封鎖)」も取り沙汰され、より強い対策としてこれらの実施を求める声がある一方、欧米の主要都市のような「ロックダウン」を想起して心配する声もあります。

 ただ、日本において「ロックダウン」は行政用語として明確な定義はないほか、これまで見てきたように「緊急事態宣言」も、市民生活に対して罰則などの強制力をもった対応は想定されていません。

 そもそも特措法を根拠とする「緊急事態宣言」と明確な定義のない「ロックダウン」は別のものです。「緊急事態宣言」は「要請」と「指示」をベースとしたものがほとんどで、強制力がないことに注意が必要です。

 現に、安倍首相も国会で「『緊急事態宣言』がただちに『ロックダウン』ではなく、特措法の下では、フランスのような(強制力のある)『ロックダウン』はできない」という趣旨の答弁をしているほか、東京都の小池百合子知事も「ロックダウン」について記者会見で「日本では、特措法(緊急事態宣言)でも、現状(の要請)でも『お願い』ベースになっている。交通機関が止まるということもない」と説明しています。

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