「強制在宅勤務」と「テレワーク」は違っている

2020年4月19日

「強制在宅勤務」と「テレワーク」は違っている

「強制在宅勤務」と「テレワーク」は違うに納得

 コロナ禍の影響を受けて、在宅ワークを推進する声を良く耳にするようになりました。
 当社では、柔軟な働き方推進と生産性をアップさせるために、早くからテレワークに取り組んできた経緯があり、やっと世の中もテレワークに向かっていくなと感じていたところです。

 ところがプレジデントオンラインにて、『コロナ禍の「強制在宅勤務」を「テレワーク」だと思ってはいけない』という記事を読んで、なるほどと合点しました。
 「強制在宅勤務」と「テレワーク」は違っているんですね。

テレワークは管理側にもの凄い労力を要する

 テレワークとは、日本テレワーク協会によると「情報通信技術(ICT)を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」を指します。
 分かったような、分からないような定義です。

 テレワークを進めてみると分かるのですが、管理側にもの凄い労力を要します。
 力量のある人に仕事を依頼するのであれば、成果物を指し示し、標準時間を示せして報告をもらえばいいのですが、力量の無い、あるいはやったことの無い業務を与えるときが苦しいわけです。操作まで説明しなければいけなかったりすると地獄です。

当社のテレワークの進め方概要

 当社ではテレワークの折には、マイクロソフト・チームを活用してコミュニケーションを取り、VPNで会社のルーターまできたら、Windowsのリモートデスクトップを使用して、当社のパソコンを使用して業務をしてもらうようにしています。それでファイルサーバーの自分の領域に成果物を置いてもらい確認しています。
 そしてWeb系の管理プログラムに全ての記録を残してもらい、報告書代わりにしています。

 従って、指示・管理する側にも多大なマネジメント労力が発生し、テレワークするほうも、それなりのITスキルが要求されるわけです。
 これがクリアーできていないと、テレワークは絵に描いた餅に終わります。

「強制在宅ワーク」が進み力量差が明らかになる

 今後「強制在宅ワーク」が進み、当社がかなり昔に感じたことを経験する会社さんも増えてくるのだろうと察します。
 その時に、生産性を保ちアップさせるためには、Web系の管理プログラムの充実が重要なことに気付くものと予想します。

 「強制在宅ワーク」が進んでいく中で、力量・スキルのある方とそうでない方との相違がくっきりと浮かび上がるでしょう。
 そして会社に来るということが、実は非生産性を許容していた事実を知ることになると想像します。

 場所と時間を克服する働き方は、管理する側にもワークする側にも力量が要求されます。その辺の具体的な機微は、また改めて記述したいと考えています。

プレジデントオンラインの記事

 以下はプレジデントオンラインの当該記事をそのまま引用して掲載させていただきます。後半は会員のみ閲覧可能なので、公開部分だけ引用させていただきます。
 ご参考になさってください。

コロナ禍の「強制在宅勤務」を「テレワーク」だと思ってはいけない

~「突貫工事」で明るみになった問題点~
https://president.jp/articles/-/34227

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自宅での勤務を推奨する企業が増えている。働き方評論家の常見陽平氏は、「こうした働き方が『テレワーク』と呼ばれているが、本来の意味とは異なる。現状はあくまでも突貫工事の『強制在宅勤務』にすぎない」という――。

これは「テレワーク」と呼べるのか

コロナ騒動で拡大が促されたものといえば「時差出勤」や「テレワーク」である。コロナに期待したり、感謝したりするのは不謹慎そのものだが、とはいえ特に後者に関しては「これでテレワークが広がり、日本の働き方が変わるのでは?」と期待する声もよく聞く。

しかし、筆者はこの「コロナで働き方が変わる」論については、慎重に向き合わなくてはならないと、この騒動の初期から警鐘を乱打してきた。これによりテレワークを体験する人が増えるのは良いことだと評価する人もいることだろう。実際、ビデオ会議サービスのZOOMなどを活用しパフォーマンスが上がったという声もよく聞く。

一方で、このテレワークの広がり方は理想とは程遠いものであることを確認しておきたい。そして、コロナ克服時にこそ働き方における真の改革は行われることだろう。今回のコロナによるテレワーク拡大の問題点と、この働き方の有効活用について考えることにする。

皆さんの中でも、企業からの指示によりテレワークを実践している人も多いことだろう。ただ、まず前提としておさえておきたいのは「これは、テレワークと呼べるのか」というそもそもの問いである。結論から言うと、現状、会社員が勤務先から言い渡されて行っているのは「強制(毎日)在宅勤務」であり、「テレワーク」のかなり限定された類型である。

そもそも「テレワーク」の正しい定義は何か

そもそもテレワークとは何か。日本テレワーク協会によると、「情報通信技術(ICT)を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」を指す。ただ、この定義自体がすでに問題をはらんでいる。

いまや多くの業務がICTを利活用するものであり、逆にそうならないものが少ない。肉体労働や、ホスピタリティを生かした労働も、大方はICTを利活用している。例えば、宅配便のドライバー兼配達員は荷物の管理などのために端末を活用しており、肉体だけでなく、高度にICTを活用した労働者である。

オフィスからの離れ方に関しても種類がある。大きく分けると、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務だ。

在宅勤務は文字通り、自宅で仕事をすることを指す。モバイルワークは、直行直帰型の営業担当者などを想像するとわかりやすい。ノートPCやタブレット、スマートフォン、その他業務用端末などを持ち歩き、外で働くスタイルだ。サテライトオフィス勤務は、自宅でも勤務先でもない第3の場所を活用して働くスタイルである。企業が用意した出張所、契約したシェアオフィスなどで働くスタイルだ。官庁やテレワーク協会などの定義でも、この3つの類型が示されている。

やや余談だが、シェアオフィスと聞いて皆さんはどのような場所を想像するだろうか。例えば、昨年業績悪化で話題となったWe Workに代表されるような、都市部にあるおしゃれなオフィスを想像するかもしれない。あるいは、カフェ風のスペースだ。ただ、シェアオフィスはそれだけではない。最近は、カラオケボックスチェーンも参入している。今は新型コロナ感染を恐れて近寄らない人も多いだろうが、もしカラオケボックスに行く機会があったら、シェアオフィスサービスがないか、チェックしてみよう。対応しているお店なら、HDMIケーブル、ホワイトボードなどを借りることができる。

本来は頻度や距離を組み合わせた上で行われる

テレワークはその利用頻度によっても分類できる。完全にテレワークなのか、週に数回など定期的なものなのか、家族の育児や介護、自身の通院などさまざまな事情に合わせた突発的なものなのかによっても異なる。

どれくらい距離が離れているのかという問題もある。あくまで通勤が前提であって、何かあったときに駆けつけられるレベルなのか、日本国内ならどこでも良いのか、海外にいてもOKなのかなどの違いがある。

業種や職種によって、テレワークの中身も異なる。中には、根本的に自宅ではできない業務というものがある。特殊な機材を必要とするものなどだ。対面での販売の仕事などもできない。さらには顧客の都合にもよる。

言うまでもなく、これらは組み合わせた上で行われるのが現実だ。しかし、現在起こっていることは「強制自宅勤務」にすぎないのである。これを「テレワークだ」と呼ぶのはやや無理があるのだ。