テレ・リモートワークにおけるベテランの落とし穴
「できること」に偏り「求められること」を見失う
テレワーク・リモートワークでは、オフィス勤務と比べて上司の目が届きにくく、自分の裁量で業務を進める自由度が高まります。これは、ベテランや力量のある人にとっては、能力を最大限に発揮できる魅力的な環境と言えるでしょう。
その反面、「できること」や「好きなこと」に没頭しすぎてしまい、「求められること」から逸脱してしまう危険性も潜んでいます。
ビジネスにおいては重要事項として「必要な要求事項を確実に遂行する」ことがあります。
しかし、特にベテランや力量のある人が陥りやすいワナとして、自由度の高いリモート環境において「自分ができること」や「好きなこと」に没頭してしまい、肝心の求められている業務から逸れてしまう危険性があります。これにより、プロジェクトやチーム全体の進行に影響が出ることもあります。
これは、「自己管理のワナ」とも言えるでしょう。以下、そのワナについての当社の経験からくる解説と、それを防ぐための方法を考察しましたのでシェアします。
なぜ「できること」に偏ってしまうのか?
成果を出しやすい
得意分野や好きな分野に集中することで、短期間で目に見える成果を上げやすく、達成感を得やすいものです。
自己満足に陥りやすい
誰にも邪魔されず、自分のペースで仕事を進められるため、自己満足に陥り、客観的な視点が失われがちになります。
周囲の状況が見えにくい
コミュニケーション不足により、チーム全体の目標や方向性、他のメンバーの状況を把握しきれず、孤立した状態に陥ります。
フィードバック不足
上司や同僚からのフィードバックが得にくいため、自分の仕事の質や方向性に対する客観的な評価を得る機会が少なくなります。
「求められること」から遠ざかることによるリスク
チーム全体のパフォーマンス低下
個人の成果は高くても、チーム全体の目標達成に貢献できなければ、組織全体の成果に悪影響を及ぼします。
モチベーションの低下
周囲から評価されず、自分の仕事が活かされていないと感じると、モチベーションが低下し、パフォーマンスもさらに低下する悪循環に陥ります。
信頼関係の崩壊
周囲とのコミュニケーション不足や、自己中心的な行動は、チームメンバーとの信頼関係を損ない、孤立を招きます。
キャリアの停滞
「できること」ばかりに固執し、「求められること」への対応力を怠ると、長期的なキャリア形成において不利になります。
防止方法
目的や目標の共有と確認
チーム全体の目的や目標、個人の役割、期待される成果などを明確に共有し、定期的に確認することで、方向性のズレを防ぎます。
コミュニケーションの活性化
チャットツールやビデオ会議などを積極的に活用し、上司や同僚と密にコミュニケーションを図り、情報共有や意見交換を行います。
多様な視点の獲得
自分の専門分野だけでなく、関連する分野の知識やスキルを習得したり、他のメンバーの業務内容を理解したりすることで、視野を広げます。
フィードバックの積極的な受容
上司や同僚からのフィードバックを積極的に求め、客観的な意見を参考に、自分の仕事を見直してもらいます。
自己評価と振り返り
定期的に自分の業務内容を振り返り、目標達成度や貢献度、改善点などを継続的に絶えず客観的に評価します。
「できること」と「求められること」を一致させるために
テレワーク・リモートワークの順調な遂行には、「自己管理能力」と「コミュニケーション能力」の両輪が不可欠です。
テレワークやリモートワーク環境下で「必要な要求事項を確実に遂行する」ことは、個人の自律性と組織の目標達成のバランスを取る上で極めて重要です。特にベテランや高い能力を持つ従業員は、自身の専門性や興味に引きずられて本来の責務から逸脱するリスクがあります。
この問題を防ぐためには、明確な目標設定、頻繁なコミュニケーション、適切なタスク管理、組織文化との整合性強化、モチベーション管理、テクノロジーの活用、そして適切な評価制度が必要です。
これらの施策を総合的に実施することで、従業員の自律性と創造性を尊重しつつ、組織の期待に沿った成果を確実に生み出すことができます。
重要なのは、この問題を単なる個人の規律の問題としてではなく、リモートワーク環境下での新たな働き方に対する組織全体の適応課題として捉えることです。管理者と従業員が協力して、互いの期待と現実のギャップを埋めていく継続的な取り組みが、成功への鍵となります。
「できること」に偏ることなく、「求められること」を常に意識し、周囲と連携することで、最大限の力を発揮できる環境を築きたいものです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません