「不妊治療」を受ける従業員に対して企業ができることは?

2020年1月27日

「不妊治療」を受ける従業員に対して企業ができることは?

不妊治療を受ける夫婦が増加

 日本における平均初婚年齢は年々上がっており、最新値となる2015年においては男性31.1歳、女性29.4歳で、1950年(男性25.9歳、女性23.0歳)と比べると5~6年ほど上がっています。また、出産時の女性の年齢についても上昇しており、2015年における第1子出産時の平均年齢は30.7歳となっています。
 近年、不妊治療を受ける夫婦が増え、働きながら不妊治療を受ける従業員も増加傾向にありますが、仕事と治療との両立に悩み、やむをえず退職するケースも多いようです。

 このような背景を受け、厚生労働省は、職場内における不妊治療への理解を深めるために、不妊治療の内容や職場での配慮のポイント、仕事と治療の両立に役立つ制度などを紹介しています。今回は同省が発行しているリーフレットを簡単にまとめます。

不妊の原因がわかったら

 不妊の原因は様々で、女性だけでなく、男性に原因がある場合もありますが、治療に伴う検査や投薬などにより、特に女性の体には大きな負担がかかります。
 不妊の原因がわかった場合、原因に応じて治療や手術を行いますが、それでも妊娠しない場合は、「対外受精」や「顕微授精」へと進みます。

 不妊治療は、妊娠・出産まで、あるいは治療をやめる決断をするまで続きます。投薬、ホルモン値などのチェック、採卵、胚移植など頻繁な通院が必要となりますが、排卵周期に合わせた通院が求められるため、前もって治療の予定を立てることは困難です。
 また、治療の一部には、連日の注射や痛みを伴う採卵など、身体的・精神的に大きな負担を伴います。

職場における取組みについて

 従業員自身から相談や報告があった場合でも、本人の意思に反して職場全体に知れわたってしまうことなどが起こらないよう、プライバシーの保護に配慮する必要があります。また、職場での従業員の意に反する性的な言動(性的な事実関係を尋ねる、性的な冗談やからかい等)は、セクシュアルハラスメントになる可能性がありますので注意が必要です。

 なお、不妊治療は、頻繁に通院する必要があるものの、1回の治療にそれほど時間がかかるわけではありません。そのため、「通院に必要な時間だけ休暇を取ることができるよう、年次有給休暇の時間単位での取得」「出退勤時刻の調整ができるよう、治療目的で利用できるフレックスタイム制の導入」など、柔軟な働き方を可能とする取組みのほか、不妊治療のための休暇(休職)制度を設けたり、治療費の補助や融資を行ったりなど、独自の取組みを行う企業もあります。
 厚生労働省のリーフレットには、その他の取組み例や就業規則例が掲載されています。

<出典:日本法令 http://www.horei.co.jp/>

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