働き方改革が進む姿は労使ともに厳しい努力が求められる

2020年1月21日

働き方改革は労使ともに厳しい努力が求められる

働き方改革が進む姿が見えてきた

 働き方改革関連法案が本格的に施行開始となりました。来年以降の施行も数多くありますが、有給休暇取得義務については待ったなしであり、各社さんとも対応に苦慮されていたのではないでしょうか。当社の顧問先・関与先の企業さんも同様に、様々な対応を検討し、ようやく運用に入るところです。

 「働き方改革」の世にあって、長労働時間が許されない状態をいったいどのように理解すれば良いのか、様々な経営者からも問われ、最近考えが落ち着いてまいりました。
 それは、「働き方改革」は労使ともに厳しい制度であるということです。
 使用者側、すなわち経営サイドに厳しいと考えられ、先の不透明感に苦慮していた経営者も多いのですが、実は労働者側にも厳しいことが、よく思慮すればとても分かりました。

仕事の受注は請負がベースで時間制度の雇用とミスマッチ

 仕事はそもそも請負がベースであり、仕事の受注においては成果物を約束して受注します。ところが雇用の場面だけ、なぜか労働時間制になっており、下手をすると能力の低い従業員が時間をかけて仕事をしたほうが、なぜか給料がいいという不思議な現象も多数目にしました。
 経営者では、この腹に落ち込まない感覚に、どうも釈然としない方も多かったのではないでしょうか。

 当社でもありました。資格保有者が、経歴等がそれらしいことを主張し、期待して採用したところが、なぜか一つの完成物に時間がかかり、全てが中途半端に行ったという事例です。それも何人かいました。過去の経歴は素晴らしかったのですが、全く利益貢献がされずに、全員ご退社されています。
 とにかく生産性が悪くて目も当てられなく、完成するまで仕事をするでもなく、定時で帰っていくのですが、なんとも不可思議な姿でした。
 当社では残業するのは経営陣や管理職だけです。それ以外は定時で帰っています。それ故に、給料分くらいは仕事をしてくださいよ、と心の中で叫ぶことも多々あったわけです。

長時間労働が許されない世では人事・処遇の適正化が鍵

 働き方改革の志向する長時間労働を許さない考え方に則ると、以下のようになることが自明の理です。

  • 受注した仕事は約束事なので必ず仕上げなくてはいけない。
  • 全体の業務量は変わらないはずなので、仕事の早い人が遅い人をカバーする。
  • よって仕事が早く正確な人が高評価を受けなければおかしくなる。
  • 遅い人は遅い人なりの評価、すなわち低賃金でないとおかしくなる。
  • 企業は業務整備と適正配置、教育訓練を本気で行う必要がある。
  • そして適正な人事評価や納得感ある処遇をしなくてはいけない。

 よって企業としては、業務の成果をきちんとした物差しで測ることが重要です。
 なんとなく賃金を決定していてはいけません。
 年功的な給与を引きずっていると、大変なことになってしまいます。

 期待成果、重要業務、重要なスキル・知識、勤務態度などを適切に因数分解して、きちんと業務成果に適合させた評価を継続的に行っていかないと、組織は滅茶滅茶になってしまう恐れがあります。
 すなわち、できる人、貴重な戦力から組織を飛び出し、出来ない人が残るという恐ろしい事態が予想されるわけです。

業務整備や標準化・可視化・業務管理の充実を

 企業においては、業務の整備や標準化、可視化や業務管理の充実化を図らなくてはなりません。
 そして利益を上げる2つの要素、売上アップとコストダウンにフォーカスして、その道筋をきちんと見えるようにしておかなくてはいけません。
 そして業績に連動させるように、利益貢献の高い従業員と低い従業員を適切に評価して、継続的にレベルアップさせる手立てを打ち続けなくてはいけません。

従業員も努力継続を

 従業員は期待成果がきちんと出せて、そのレベルが上がるように努力し続けなければなりません。
 努力をやめている従業員、レベルアップできない従業員、利益に貢献できない従業員は、低賃金に甘んじるか、その組織に残れないようなことも考えられるわけです。

 それが短時間で成果を上げなくてはいけない世の中の宿命でしょう。利益に貢献できないのは罪とも言えます。

利益に貢献できないのは罪人

 視点を変えると、利益を出せない人は罪人とも言えます。利益の足を引っ張っているというのは、頑張って利益を出している方の利潤を食ってしまっているからです。意識せずとも、そういう厳然たる事実があります。それは利益を出している人の貢献度を盗んでいる、いわば盗人ともいえるわけです。盗みは罪ですね。
 今後、従業員も利益にどれだけ貢献できているのか、厳しい視点、厳しい姿勢で測られていくことになるのだろうと想像します。

業務改革・人事改革・適正労務管理を同時進行で

 最近は、上述のような話をすると経営者はストンと腹に落ちるようです。企業側も、まだまだ業務の遂行手順や管理ツールなどが充実しておらず、これじゃ混乱極まりないでしょと思わざるを得ないところもそれなりにあるわけです。
 働き方改革を進めるにあたっては、業務改革と人事改革、そして適正な労務管理を同時進行で進めていかなくてはなりません。

 当社では様々な成功事例・失敗事例を積み上げてまいりました。提供できる業務手順書・業務管理ツール・人事評価基準・就業規則などのレベルももの凄くアップしたように感じています。
 教育訓練体系の整備や教材等の充実も果たさなくてはならず、まだまだ道のりは遠いものの、見えてきた働き方改革の推進に向けて、全力で企業さんの支援に当たりたいと考えております。

※記事作成時点での内容となっております。

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