JIS Q 9001(品質マネジメントシステム規格)改正 2008版

2018年3月1日

– ISO 9001 の改正版発行に伴う改正 –

 経済産業省は、平成20年12月20日付けで、JIS Q 9001(品質マネジメントシステム規格)を改正しました。

 JIS Q 9001 は、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001 の我が国における普及のため、日本工業規格(JIS)として公示されているもので、今回の改正は、ISO(国際標準化機構)が、規格の内容の明確化等を目的に平成20年11月15日付けでISO 9001 の改正版を発行したことに伴うものです。

JIS Q 9001 主な改正点

 JIS Q 9001主な改正点は以下の通りです。

規格要求事項の明確化

 当該事項は、ISO が実施したユーザ調査で明確にするよう要請が多かった項目のようです。

1.品質マネジメントシステム:一般要求事項【4.1】

 アウトソースしたプロセスの管理について、本文の中に“組織は「管理の方式及び程度」を定めなければならない”とするとともに、注記に、「管理の方式及び程度」は以下の3 つの要因により影響されうると説明が追加されました。

  • アウトソースしたプロセスの適合製品を供給するという組織の能力への影響の可能性
  • アウトソースしたプロセスの管理への組織の関与の度合い
  • 購買管理を遂行する組織の能力

2.改善:是正処置【8.5.2】及び予防処置【8.5.3】

 現行版の本文にある“是正処置において実施した活動のレビュー”を、“とった是正処置の有効性のレビュー”と修文することで、ここにおけるレビューとは「実施した是正処置の結果の確認を含む」ことであることが明確にされました。

 予防処置【8.5.3】についても、同様に改正されています。

JIS Q 14001 との整合性の向上

 記録の管理に関する要求事項【4.2.4】について、JIS Q 14001 との記述順序を揃えることで整合性が向上されました。

 今回の改正は、JIS Q 9001 の規格の内容の明確化等を目的とするものであり、組織に要求される事項を追加・変更するものではありません。

 ただし、今回の改正で現行のJIS Q 9001 の一部に含まれていた曖昧さが解消されたことは、JISQ 9001 を導入している組織に対し、自らの品質マネジメントシステムを再確認する機会を与えるものと考えられます。

 また、JIS Q 9001 への適合性を認証する民間の認証機関にとっても、自らの審査を再確認し、認証の信頼性向上の一つの材料となることが期待されています。

(参考) JIS Q 9001 認証制度における扱いについて

 JIS Q 9001 認証制度に関して、平成20 年8 月20 日のISO とIAF(国際認定機関フォーラム)の共同声明を受け、財団法人日本適合性認定協会(JAB)は、平成20 年9 月25 日付けで同協会認定のマネジメントシステム認証機関に対し、

  1. 現行のJIS Q 9001 から改正版のJIS Q 9001 への移行期間が、改正版の発行から24 か月間であること
  2. 改正版発行後、1 年を経過した後は、新規認証及び再認証は改正版で行われなければならないこと等

 を内容とする通知を行っています。