8 運用
8.1 運用の計画及び管理
- ・以下に示す事項の実施によって、EMS要求事項を満たすため、並びに6.1及び6.2で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを確立し、実施し、管理し、維持すること。
- ・プロセスに関する基準の設定
- ・その基準に従った、プロセスの管理の実施
注記:管理は、工学的な管理及び手順を含み得る。管理は、優先順位(例:除去、代替、管理的な対策)に従って実施されることもあり、また、個別に又は組み合わせて用いられることもある。
- ・計画した変更を管理し、意図しない変更によって生じた結果をレビューし、必要に応じて、有害な影響を軽減する処置を取ること。
- ・外部委託したプロセスが管理されている又は影響を及ぼされていることを確実にすること。これらのプロセスに適用される管理又は影響の種類及び程度は、EMSの中で定めること。
- ・ライフサイクルの視点に従って、以下の事項を行うこと。
- a. 必要に応じて、ライフサイクルの各段階を考慮して、製品又はサービスの設計・開発プロセスにおいて、環境上の要求事項が取り込まれていることを確実にするために管理を確立
- b. 必要に応じて、製品及びサービスの調達に関する環境上の要求事項を決定
- c. 請負者を含む外部提供者に対して、関連する環境上の要求事項を伝達
- d. 製品又はサービスの輸送又は配送(提供)、使用、使用後の処理及び最終処分に伴う潜在的な著しい環境影響に関する情報を提供する必要性について考慮する
- ・プロセスが計画どおりに実施されたという確信を持つために必要な程度の文書化した情報の維持(文書類)。
解説
■箇条6.1で決定した取組み、及び6.2で決定した計画策定に対するプロセスの確立、実施、管理、維持が求められている。プロセスの確立の重要性が強調された。
■取組みの計画(6.1.4)には、既に、リスク及び機会(6.1.1)、著しい環境側面(6.1.2)、順守義務(6.1.3)がインプットされているため、必要な運用管理のプロセスが構築、運用される流れとなる。目標達成に向けての運用という点では実施計画で特定された内容によって必要に応じて運用管理プロセスが策定されることになる。
■“計画した変更”、及び、“意図しない変更”に対して生じる可能性のあるネガティブな影響に対する管理が求められている。
■外部委託したプロセスに対する管理と影響力が要求されている。但し、どのように、どこまで、管理・影響を及はすかは組織で決定できる。
■箇条3.3.4外部委託の定義の注記には「外部委託プロセスはマネジメントシステムの適用範囲内にあるが、外部組織はマネジメントシステムの適用外にある」と説明されていることに留意する必要がある。
■ライフサイクルの視点での考え方においては、組織の外部(上流・下流)に対する要求事項に関して、例えば、以下の様なSupply Chain Managementでの環境管理を考えるとよい。
- ・購入する物品及びサービスに対する環境要求事項
- ・設計プロセスでの製品ライフサイクルでの環境改善の考慮
- ・供給者、請負者への環境要求事項の伝達
- ・下流の関係先への情報提供(配送、販売業者、顧客、廃棄物処理業者など)
■文書化した情報が求められている。
文書、記録例
「運用手順書」、「設備の運転取扱手順」、「排水処理手順」、「廃棄物処理手順」、「オフィス分別ゴミ一覧」、「各種点検記録」、「行政への各種届出」、「供給者・請負者との業務委託契約書」など。
8.2 緊急事態への準備及び対応
- ・6.1.1で特定した潜在的な緊急事態への準備及び対応のために必要なプロセスを確立し、実施し、維持する。
- ・以下の事項を行う。
- a. 緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって、対応を準備する
- b. 顕在した緊急事態に対応する
- c. 緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて、緊急事態による結果を防止又は緩和するための処置をとる
- d. 実施可能な場合には、計画した応急処置を定期的にテストする
- e. 定期的に、また特に緊急事態の発生後はテストの後には、プロセス及び計画した対応処置をレビューし、改訂する
- f. 必要に応じて、緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育・訓練を組織の管理下で働く人々を含む関連する利害関係者に提供する
- ・プロセスが計画どおりに実施されるという確信を持つために必要な程度の文書化した情報を維持(文書類)する。
解説
- ・本箇条では、6.1.1で決定した緊急事態をインプットとして、準備及び対応することを要求している。
- ・緊急事態は、環境に有害な影響を及ぼすもの、または、組織に対してその他の有害となり得る影響をもたらす潜在的な事象が考えられる。例えば、環境に有害となり得る火災・化学物質の漏えい、組織に有害となり得る悪天候・地震・近接施設・輸送手段の緊急事態が考えられる。自らの管理下にない地震・近隣の施設・輸送手段等が起因となる事態も含まれることを認識する必要がある。
■f項の「情報及び教育・訓練を利害関係者に提供する」は、7.4「コミュニケーション」で明確にする必要がある。緊急事態におけるサプライチェーンの影響等も考慮する対象となり得る。
■a項~f項の各手順を通して、緊急事態のプロセスが機能するかどうかの確認が要求されている。
文書、記録例
「緊急事態対応手順」、「事故報告書」、「緊急事態対応手順評価記録」など。
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