文書の過去の版を表示しています。
目次
10 改善
10.1 一般
・顧客要求事項を満たし、顧客満足を向上させるために、改善のための機会を明確にし、選択し、必要な取組みを実施する。これには、以下を含める。
- a. 要求事項を満たすため、並びに将来のニーズ及び期待に取組むための、製品及びサービスの改善
- b. 好ましくない影響の修正、防止又は低減
- c. QMSのパフォーマンス及び有効性の改善
注記:改善の例には、修正、是正処置、継続的改善、現状打破による変革、革新及び組織再編が含まれる。
解説
■本箇条では、組織が今まで以上に顧客要求事項を満たし、顧客満足の向上を達成するための改善機会を追求し、実現することが要求されている。
■本箇条で取り扱う不適合への対処のうち、製品・サービスの不適合に関しては、8.7(不適合なアウトプットの管理)で規定しているので、それ以外のQMS要求事項に関する不適合が対象であるが、是正処置に関わる要求事項は両方とも対象となる。
■製品及びサービスの既知の要求事項を満たすことのみならず、「将来のニーズ及び期待」も満たす必要がある。
文書、記録例
文書化された情報の要求はない。
10.2 不適合及び是正処置
10.2.1 苦情から生じたものを含め、不適合が発生した場合、以下の事項を行う。
- a. その不適合に対処し、該当する場合には、以下の事項を行う
- ①その不適合を管理し修正するための処置をとる
- ②その不適合によって起こった結果に対処する
- b. その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、以下によって、その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価
- ①不適合のレビュー、分析
- ②原因を明確化
- ③類似の不適合の有無、発生の可能性
- c. 必要な処置を実施する
- d. 是正処置の有効性をレビュー
- e. 必要な場合には、計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更新する
- f. 必要な場合にはQMSマネジメントシステムの変更を行う
・是正処置は、検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。
解説
■本箇条は、不適合が発見された場合、初めに修正を実施し、次にその影響に応じて是正処置を実施しなければならないとする要求事項である。
■本箇条で取り扱う不適合への対処のうち、製品・サービスの不適合に関しては、8.7(不適合なアウトプットの管理)で規定しているので、それ以外のQMS要求事項に関する不適合が対象であるが、是正処置に関わる要求事項は両方とも対象となる。
■QMSの主要な目的のひとつは、予防的なツールとして働くことである。予防処置の概念は4.1(組織及びその状況の理解)、及び6.1(リスク及び機会への取組み)に包含されている。 (予防処置の発展的解消)
■是正処置c項は、不適合を“再発防止するため”に不適合の“原因”を除去することであり、不適合の“事象/現象”を除去する「修正処置」a項とは区別して認識する必要がある。是正処置は必ずしも全ての不適合に対して実施しなくてはならないわけではなく、修正処置a項のみが現実的な対策であるような不適合に対しては、組織としての是正処置の必要性評価b項に基づいた弾力的運用が可能である。不適合が持つ影響に見合った是正処置であることが重要である。
■不適合の例としては、箇条9.2(内部監査での不適合)、7.1.5.2(測定機器が意図した目的に適していない)等が考えられる。
文書、記録例
文書化された情報の要求はないが、「不適合・是正処置管理規程」など。
10.2.2 以下に示す事項の証拠として、文書化した情報を保持(記録類)する。
- a)不適合の性質(nature)及びとった処置
- b)是正処置の結果
解説
■本箇条では、処置の結果の記録が求められているが、是正処置の実施結果のみならず、是正プロセス(箇条10.2.1)の記録を含めること、また文書化した情報の様式については、処置の正当性、妥当性を実証する必要のある場合や関係者への周知など後の利用を考慮して決めると良い。
文書、記録例
「不適合報告書」、「苦情・クレーム報告書」、「是正処置回答書」、「是正処置記録」など。
10.3 継続的改善
・QMSの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。
・継続的改善の一環として取組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために、分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討する。
解説
■本箇条は、“組織に対してQMSの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善すること”を総括的に求めている。
■継続的改善のプロセスの一部として、組織は、成果が十分に出ていない分野、ならびに改善の機会を特定するために分析及び評価のアウトプット(9.1.3)ならびにマネジメントレビューからのアウトプット(9.3.3)をアウトプットとして検討することを要求している。 組織は、成果が十分に出ていない原因を調査し、継続的改善を支援するために、適宜ツール及び方法論を採用する必要がある。
■方針管理、TPM活動などの改善活動の仕組みを持っている組織では、既に継続的改善の要素が備わっている場合が多い。この様な場合、既存の活動とISO規格要求の継続的改善の仕組みが別運用にならないように事業プロセスとの統合(5.1.1.c)が必要である。
文書、記録例
文書化された情報の要求はないが、「継続的改善実施フロー」、「マネジメントレビュー記録」などの継続的改善が有効に展開されていることを示す一連の記録など。
このページへのアクセス 今日: 2 / 昨日: 1 / 総計: 52