・EMSの確立、実施、維持及び継続的改善に必要な資源を決定し、提供しなければならない。
解説
■附属書SLに対して、ISO14001に固有となる要求事項の追加はない。
■資源には人的資源、天然資源、インフラストラクチャ(建物、設備、地下タンク、排水・排ガス浄化設備など)、技術、資金が含まれる。人的資源には専門知識、技能が含まれる。資源は外部提供者によって補完してもよい。
文書、記録例
文書化された情報の要求はないが、「設備管理台帳」、「要員計画/人員配置計画」、「設備の更新計画」など。
注記:適用される処置には、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。
解説
■本箇条で必要な力量は「環境パフォーマンスに影響を与える業務」を「組織の管理下で行う人」に適用される。
■力量が要求されているのは、組織の管理下で行う人とされているので、社員以外の要員も含まれる。
■環境パフォーマンスに影響を与える業務を行う要員とは、次に示す人が該当する。
環境影響又は順守義務の特定及び評価者、環境目標の達成に寄与する人、緊急事態対応者、内部監査員、順守評価者
■力量の取得には教育訓練以外にも様々な方法(指導、配置転換、力量保有者の新規採用等)があることに留意する必要がある。
■力量を身に付けるために取った処置(配置転換、新規採用等を含む)の有効性を評価することが求められている。
文書、記録例
「力量評価表」、「有効性の評価記録」、「教育訓練実施記録」など。
解説
■「順守義務を含む」という表現が追加された。
環境方針を暗記する必要があるとか、環境方針のコピーを保持するなどと捉えるのではなく、環境方針の存在、その目的、コミットメントの達成に関して、自らの役割を認識してほしいというのが主旨である。
文書、記録例
文書化された情報の要求はないが、「教育訓練記録」など。
解説
■コミュニケーションの内容は、著しい環境側面、環境パフォーマンス、順守義務、及び、継続的改善の提案に関する情報などであり、組織の中と外との双方向のプロセスである。
■順守義務の事例としては、行政への報告(PRTR、産業廃棄物)、CSR報告書などが考えられる。
■コミュニケーションは、透明で、適切で、偽りなく、誤解を与えず、事実に基づき、関連情報を除外せず利害関係者に分かりやすいことが重要となる。
文書、記録例
「CSR報告書」、「苦情・クレーム報告書」、「各種届出記録」など。
解説
■社員以外の要員(組織の管理下で働く人々)も含まれることが明確となった。
文書、記録例
文書化された情報の要求は、箇条7.4.1でコミュニケーション全体として求められている。
「環境管理委員会議事録」、「社内報」、「構内協力会社定例会議事録」など。
・コミュニケーションプロセスによって確立(establish)されたとおりに、順守義務による要求に従って、EMSに関連する情報について外部コミュニケーションを行うこと。
解説
■外部コミュニケーションの相手としては、利害関係者(行政、近隣住民、地域自治会、顧客、協力会社など)が考えられる。
■箇条7.4.1で定められたコミュニケーションプロセスの計画と、順守義務の要求事項に従って、EMS関連情報を外部に伝達することが求められる。例えば、行政への報告(PRTR、産業廃棄物)、CSR報告書などが考えられる。
■2004年版の「著しい環境側面についての外部コミュニケーション」の記述はなくなった。
文書、記録例
文書化された情報の要求は、箇条7.4.1でコミュニケーション全体として求められている。
注:EMSのための文書化した情報の程度は、次のような理由によって、それぞれの組織で異なる場合がある。
解説
■「文書化した情報」は、従来の「文書・記録」であり、組織が管理し維持するよう要求されている情報、及びそれが含まれている媒体を意味する。
■要求事項の中で、「文書化した情報を維持する(maintain)」の場合は「文書類」を示し、「文書化した情報を保持する(retain)」の場合は「記録類」を示している。
■文書化した情報は、あらゆる形式及び媒体の形をとることができる。(例:データベース・絵・床テープ・写真・VTR・表・チャート・模型・見本・動画マニュアル・ナビゲーションなど)
■EMSで使用する「文書化した情報」は、業務や他のマネジメントシステムで作成された文書・記録類を使用してもよい。
■既にEMSを運営している場合は、「環境マニュアル」が有効かもしれない。
■「必要と組織が決めた」の意味は、利害関係者の納得が得られるとの視点から、組織が決めることが求められる。
文書、記録例
この箇条で要求される文書化された情報はないが、「文書・記録一覧」、「文書・記録管理手順」など。
・文書化した情報を作成及び更新する際、以下の事項を確実にすること。
解説
■文書化した情報の作成及び更新に関する要求事項である。
■作成された文書は、レビューされ、承認されることが求められている。
■承認された文書、即ち組織にとって正式な手順/規定で運用していくことがマネジメントシステムの基本である。
■文書化に関するIT技術の応用を意識している。ISOと言えば、紙媒体の文書・記録というイメージからの脱却を意識している。
文書、記録例
この箇条で要求される文書化された情報はないが、「文書・記録一覧」、「文書・記録管理手順」など。
注記:アクセスとは、文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定、又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定と理解することができる。
解説
■文書化した情報に関する機密性(Confidentiality)と完全性(Integrity)と可用性(Availability)に関する要求事項であり、文書化した情報の利用者の業務に支障がないようにすることを求めている。
■手順書などを、必要な時に、必要なところで、利用可能な状態に維持する。(可用性)
■社外秘文書などの施錠管理やアクセスに関するルールの設定。(機密性)
■社内文書やデータなどが改ざんされないような状態に維持する。(完全性)
■アクセスとは、文書化した情報に対するアクセス権限の管理を意味している。例えば、電子文書の閲覧、追加、削除、書換等の権限の設定が考えられる。あるいは、紙媒体の書庫への入室権限も考えられる。
■最新版管理は大切である。また、変更の識別、すなわち変更番号/記号の明示及び最新版の識別を確実にする台帳管理などが考えられる。また、電子ファイルは最新版用のフォルダなどを利用して旧版との識別管理が考えられる。
■読みやすいこととしては、判読不能な文字、汚損などによる判読不能などは伝達機能が劣るため、避けること。
■不要になった文書は、ルールに従って、適切に廃棄する。
■外部文書も利用可能なこと、外部文書には、顧客支給図面・仕様書、指示書、ISO規格書、法令・規制書などが一般的に取り上げられている。
文書、記録例
この箇条7.5.3で要求される文書化された情報はないが、「文書・記録一覧」「文書・記録管理手順」など。
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