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iso_14_05 [2023/11/29 16:01] – norimasa_kanno | iso_14_05 [2023/11/29 16:08] (現在) – [5.3組織の役割、責任及び権限] norimasa_kanno | ||
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■意図した成果の3項目とは、「環境パフォーマンス向上、順守義務への適合、環境目標を満たすこと」である。 | ■意図した成果の3項目とは、「環境パフォーマンス向上、順守義務への適合、環境目標を満たすこと」である。 | ||
- | * a)EMSの有効性(effectiveness)に説明責任(taking accountability)を負う\\ | + | a)EMSの有効性(effectiveness)に説明責任(taking accountability)を負う\\ |
「有効性(effectiveness)」の定義は、「計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度(附属書SL共通定義3.06)」となっている。ここでの「計画」は、箇条6「計画」で策定した計画を指し、その計画に沿った活動の結果、関連する部門と階層の目的がどの程度達成されたか、その成果の目的に対する程度が「有効性」となる。EMSの有効性に関する最終責任はトップマネジメントにあり、説明責任はトップマネジメントから委譲できない。 | 「有効性(effectiveness)」の定義は、「計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度(附属書SL共通定義3.06)」となっている。ここでの「計画」は、箇条6「計画」で策定した計画を指し、その計画に沿った活動の結果、関連する部門と階層の目的がどの程度達成されたか、その成果の目的に対する程度が「有効性」となる。EMSの有効性に関する最終責任はトップマネジメントにあり、説明責任はトップマネジメントから委譲できない。 | ||
- | * b)EMSに関する環境方針及び環境目標を確立し、それらが組織の戦略的な方向性及び組織の状況と両立することを確実(ensure)にする組織の戦略的な方向性と矛盾しない環境方針及び環境目標が確立されていることを確実(ensure)にすることを求めている。環境方針、環境目標が設定される仕組みの確立がポイントになる。動詞が“' | + | b)EMSに関する環境方針及び環境目標を確立し、それらが組織の戦略的な方向性及び組織の状況と両立することを確実(ensure)にする組織の戦略的な方向性と矛盾しない環境方針及び環境目標が確立されていることを確実(ensure)にすることを求めている。環境方針、環境目標が設定される仕組みの確立がポイントになる。動詞が“' |
- | * c)組織の事業プロセスへのEMS要求事項の統合を確実(ensure)にする\\ | + | c)組織の事業プロセスへのEMS要求事項の統合を確実(ensure)にする\\ |
- | 附属書SLのコンセプトである「マネジメントシステムと事業プロセスの一体化」を具体的な要求事項として求めている。事業プロセスの中で、EMSを矛盾なく運用できるようにすることがポイントになる。動詞が“確実にする(ensure)”なので、業務の遂行をトップマネジメント以外に委譲することができる。 | + | 附属書SLのコンセプトである「マネジメントシステムと事業プロセスの一体化」を具体的な要求事項として求めている。事業プロセスの中で、EMSを矛盾なく運用できるようにすることがポイントになる。動詞が“確実にする(ensure)”なので、業務の遂行をトップマネジメント以外に委譲することができる。 |
- | * d)EMSに必要な資源が利用可能であることを確実(ensure)にする\\ | + | d)EMSに必要な資源が利用可能であることを確実(ensure)にする\\ |
- | EMSで必要な資源を関連各部門で活用することができるようにすることが求められている。\\ | + | EMSで必要な資源を関連各部門で活用することができるようにすることが求められている。\\ |
- | ここでいう「資源」は組織の事業によって異なるが、要員、インフラストラクチャ、材料、エネルギー、知識、財務などが考えられる。多くの場合、資源の必要性は、トップマネジメントでなく、それぞれの実施部門で決定される。この要求事項は、動詞が“確実にする(ensure)”なので、権限委譲する管理者を選んで委譲してもかまわない。 | + | ここでいう「資源」は組織の事業によって異なるが、要員、インフラストラクチャ、材料、エネルギー、知識、財務などが考えられる。多くの場合、資源の必要性は、トップマネジメントでなく、それぞれの実施部門で決定される。この要求事項は、動詞が“確実にする(ensure)”なので、権限委譲する管理者を選んで委譲してもかまわない。 |
- | * e)有効な環境マネジメント及びEMS要求事項への適合の重要性を伝達する\\ | + | e)有効な環境マネジメント及びEMS要求事項への適合の重要性を伝達する\\ |
- | トップマネジメントが先頭に立って、有効な環境マネジメント及びEMS要求事項への適合が重要であることを組織内に伝達することを求めている。 | + | トップマネジメントが先頭に立って、有効な環境マネジメント及びEMS要求事項への適合が重要であることを組織内に伝達することを求めている。 |
- | * f)EMSがその意図した成果を達成することを確実(ensure)にする\\ | + | f)EMSがその意図した成果を達成することを確実(ensure)にする\\ |
- | 「意図した成果」は、マネジメントシステムの目的である。EMSの場合は、箇条1「適用範囲」に定められた「環境パフォーマンスの向上」、「順守義務を満たすこと」、「環境目標の達成」が意図した成果である。動詞が“確実にする(ensure)”なので、業務の遂行をトップマネジメント以外に委譲することができる。 | + | 「意図した成果」は、マネジメントシステムの目的である。EMSの場合は、箇条1「適用範囲」に定められた「環境パフォーマンスの向上」、「順守義務を満たすこと」、「環境目標の達成」が意図した成果である。動詞が“確実にする(ensure)”なので、業務の遂行をトップマネジメント以外に委譲することができる。 |
- | * g)EMSの有効性に寄与するよう人々を、指揮し、支援する\\ | + | g)EMSの有効性に寄与するよう人々を、指揮し、支援する\\ |
- | 具体的には、環境方針などで、直接、間接的に指示を与え、マネジメントレビューなどを通して、組織の活動を支援し、監督を行うことなどが考えられる。この要求事項は、トップマネジメント自身が実施する必要がある。 | + | 具体的には、環境方針などで、直接、間接的に指示を与え、マネジメントレビューなどを通して、組織の活動を支援し、監督を行うことなどが考えられる。この要求事項は、トップマネジメント自身が実施する必要がある。 |
- | * h)継続的改善を促進する\\ | + | h)継続的改善を促進する\\ |
トップマネジメントが、組織が継続的改善に積極的に取組むように、環境方針などで継続的改善の基本的仕組を支持し、システムの改善につながるように行動することなどが求められている。 | トップマネジメントが、組織が継続的改善に積極的に取組むように、環境方針などで継続的改善の基本的仕組を支持し、システムの改善につながるように行動することなどが求められている。 | ||
- | * i)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証(demonstrate)するよう、管理層の役割を支援する\\ | + | i)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証(demonstrate)するよう、管理層の役割を支援する\\ |
- | 関連する各マネージャーが、リーダーシップを実証するための支援をすることを求めている。 | + | 関連する各マネージャーが、リーダーシップを実証するための支援をすることを求めている。\\ |
- | この要求事項は、トップマネジメント自身が実施する必要がある。 | + | この要求事項は、トップマネジメント自身が実施する必要がある。 |
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行 69: | 行 69: | ||
- | ===== 5.2環境方針 ===== | + | ===== 5.2 環境方針 ===== |
・トップマネジメントは、以下の事項を満たす環境方針を確立し、実施し、維持する。 | ・トップマネジメントは、以下の事項を満たす環境方針を確立し、実施し、維持する。 | ||
* a. 組織の目的、並びに組織の活動、製品及びサービスの性質、規模及び環境影響を含む組織の状況に対して適切 | * a. 組織の目的、並びに組織の活動、製品及びサービスの性質、規模及び環境影響を含む組織の状況に対して適切 | ||
* b. 環境目標の設定のための枠組みを示す | * b. 環境目標の設定のための枠組みを示す | ||
- | * c. 汚染の予防、及び組織の状況に関連するその他の固有なコミットメントを含む、環境保護に対するコミットメントを含む | + | * c. 汚染の予防、及び組織の状況に関連するその他の固有なコミットメントを含む、環境保護に対するコミットメントを含む\\ |
- | | + | 注記:環境保護に対するその他の固有なコミットメントには、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、並びに生物多様性及び生態系の保護を含むことができる。\\ |
* d. 組織の順守義務を満たすことへのコミットメントを含む | * d. 組織の順守義務を満たすことへのコミットメントを含む | ||
* e. 環境パフォーマンスを向上させるためのEMSの継続的改善へのコミットメントを含む | * e. 環境パフォーマンスを向上させるためのEMSの継続的改善へのコミットメントを含む | ||
行 106: | 行 106: | ||
- | ===== 5.3組織の役割、責任及び権限 ===== | + | ===== 5.3 組織の役割、責任及び権限 ===== |
・トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限を割り当て、組織内に伝達し、それが理解されることを確実にする。\\ | ・トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限を割り当て、組織内に伝達し、それが理解されることを確実にする。\\ | ||
* a. EMSが、要求事項に適合することを確実にする | * a. EMSが、要求事項に適合することを確実にする | ||
* b. 環境パフォーマンスを含むEMSのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する | * b. 環境パフォーマンスを含むEMSのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する | ||
- | * | + | |
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