====== 10 改善 ====== ===== 10.1 一般 =====  ・EMSの意図した成果を達成するために、改善のための機会(9.1、9.2及び9.3参照)を決定し、必要な取組みを行う。 ---- **解説**  ■本箇条では、EMSの意図した成果を達成するための改善機会を追求し、実現することが要求されている。  ■EMSの「意図した成果」は、箇条1「適用範囲」に環境方針に整合して、次の3つを含むものである。 * ・環境パフォーマンスの向上 * ・順守義務を満たすこと * ・環境目標の達成 ---- **文書、記録例**  文書化された情報の要求はない。 ===== 10.2 不適合及び是正処置 ===== * ・不適合が発生した場合、以下の事項を行うこと。 * a. その不適合に対処し、該当する場合には、必ず(as applicable)、以下の事項を行う * ①その不適合を管理し、修正するための即時の処置をとる * ②有害な環境影響を緩和を含め、その不適合によって起こった結果に対処する * b. その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、以下の事項によって、不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する * ①その不適合をレビューする * ②その不適合の原因を明確にする * ③類似の不適合の有無、又はそれが発生する可能性を明確にする * c. 必要な処置を実施する * d. とった是正処置の有効性をレビューする * e.必要な場合には、EMSの変更を行う * ・是正処置は、環境影響も含め、検出された不適合のもつ影響の著しさに応じたものであること。 * ・以下に示す事項の証拠として、文書化した情報を保持(記録類)すること。 * 1. 不適合の性質及びとった処置 * 2. 是正処置の結果 ---- **解説**  ■本箇条は、不適合が発見された場合、初めに修正・緩和を実施し、次にその影響に応じて是正処置を実施しなければならないとする要求事項である。  ■EMSの主要な目的のひとつは、予防的なツールとして働くことである。予防処置の概念は箇条4.1(組織及びその状況の理解)、及び6.1(リスク及び機会への取組み)に包含されている(予防処置の発展的解消)。  ■是正処置c項は、不適合を“再発防止するため”に不適合の“原因”を除去することであり、不適合の“事象/現象”を除去する「修正・緩和処置」a項とは区別して認識する必要がある。是正処置は必ずしも全ての不適合に対して実施しなくてはならないわけではなく、修正・緩和処置a項のみが現実的な対策であるような不適合に対しては、組織としての是正処置の必要性評価b項に基づいた弾力的運用が可能である。不適合が持つ影響に見合った是正処置であることが重要である。 ---- **文書、記録例**  「不適合報告書」、「苦情・クレーム報告書」など。 ===== 10.3 継続的改善 =====  ・環境パフォーマンスを向上させるために、EMSの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。 ---- **解説**  ■環境パフォーマンスは、EMSを適用することによって、向上することができる。環境パフォーマンスの向上という表現は、EMS固有の表現となっている。  ■有効性の改善が明記されたことで、環境問題の深刻化に歯止めをかける意図が見える。 ---- **文書、記録例**  文書化された情報の要求はない。 {{page>[iso_09]#[ISO(2015)改訂テキストのメニュー]}}